2013年12月31日火曜日

2013年の大晦日

2013年も大晦日。
もう、紅白も終わろうとしている。
除夜の鐘も聞こえてくる頃だ。
じぇじぇじぇ、今でしょ、おもてなし、倍返しと4つも流行語が生まれたこの年も、残り10分足らずだ。

今年は、いろいろなことがあった。
ずっと目標にしてきた、院試という戦いに敗れた。
ただ、悔いが無いようにがんばった。これはもう、実力が足りなかったのだ。仕方ない。
年男だったが、今年は残念ながら何も成せなかった。その分、次の巳年、つまり12年後までには大事を成す。これを、来年と言わず、ここからの人生の抱負としたい。

さて、ローゼンメイデンはと言えば、今年はアニメ化した。
以前のアニメは2004年、それからトロイメントにオーベルテューレと放送されたが、それから長い年を空けて、ヤングジャンプ版がアニメ化した。
キャストはそのまま、スタッフが新たにアニメ化。
自分が戦っている時にアニメが放送されていたので、とても強く記憶に残った。
そして、来月発売のヤングジャンプで、ローゼンメイデン11年の歴史に幕がおりる。
スピンオフをいくらでも続けられるタイプの作品なので、ローゼンメイデンという作品の終焉とはならないだろうが、それでも、一つの大きな終わりだ。
とりあえず、それはその時に語るとしよう。

今年は、とても印象的な年であった。そして、いろいろなものを得た年となった。

今年最後の落描きは、仏頂面の蒼星石と、蒼星石の帽子へ帰って行くヘビ。あと、今後の抱負である。

来年も、良い年でありますように。





2013年10月6日日曜日

ローゼンメイデン 最終回

前回、ローゼンメイデン最終回の感想を書いたが、今回は、BS-TBSの最終回ということで、最後に今回のアニメが放映されていた期間の出来事なんかを振り返ろうと思う。
本当は、ローゼンメイデンという作品に関する思いを書いたり、ローゼンメイデンという作品そのものを振り返ろうと思ったのだが、どうもこの終わり方だと、原作の連載が終わった後くらいに続きをやる気がするので、そういうのはその時にしようと思う。


と、その前に、絶賛ばかりでもどうかと思うので、最後にひとつだけ、今回のアニメの不満点を書こうと思う。
毎回登場した絵本。アニメのオリジナル要素であり、真紅の声で朗読される、女の子と人形のストーリーだ。
毎回、本編のストーリーとリンクしているようで、リンクしていないような。願いを込めた七体の人形など、わかりやすくリンクしている部分もあるが。それでも、どうにも続きが気になる、不安げな物語であった絵本。遂には真紅とジュンがこれを読み、真紅に「文字にして想いを残す意味」を考えさせたこの本。
最後の最後で、真紅自身の文字で、真紅の願いを書いた。女の子が一番小さな人形に一番大きな願いを託したように。消えていった者の想いが、文字になって残されたわけである。ここで、朗読の声はやはり真紅が本を読む声であったのだと思わせ、本編のストーリーと完全に繋がるのだ。
しかし、この直後に、ジュンが真紅とテレビ電話で会話し、あっさりと再会を果たしてしまう。これでは、第一話から続けたこの伏線が、急激に弱いものになってしまうと思うのだ。これは、少し拍子抜けであった。ここだけは、例えばAパートでやっておくとかした方が良かっただろう。AパートからBパートまででは結構な時間が経過しているようだし、その方が真紅の想いを受けて成長したジュンの姿が表現出来てよかったと思うのだ。
とりあえず、不満はここだけである。あとは、本編以外の部分を語ってみる。


第一話から最終回まで、省略されることなく流されたオープニングとエンディング。
オープニングは、アリプロの『私の薔薇を喰みなさい』であった。
曲名に薔薇が付き、そしてその薔薇を喰めという奇怪な命令になっている。これはもちろん、薔薇の指輪にくちづけをする、ローゼンメイデンとの契約を意味するのだろう。曲の内容も、退廃的で耽美的な世界を描いた、正にアリプロの魅力が存分に感じられるものである。
甘い雫で誘う茨に、蛹から羽化する夢、そして螺旋の先にある光。ローゼンメイデンという作品全体とともに、今回アニメ化された部分のお話を象徴するようなキーワードが歌詞の中に出てくる、このアニメの主題歌にふさわしい曲となっていた。
しかし、何より印象的なのは、イントロのところで使われているハードな曲調で少し浮いた部分だろう。提供のバックで流れていた部分だ。あれがあまりにも印象的すぎて、とにかく事あるごとに脳内再生される。あの提供時の映像は、本編中の映像の一部を繰り返し流すものであり、だんだんとギャグっぽい部分が使われるようになったが、第一話ではラプラスが手紙に封をするというシーンであったため、曲と相まってかなりサイケデリックなイメージが出来上がっていた。もっとも、第一話ではギャグ的なシーンは無かったので、どうしてもこのようになるのだが、このシーンを選んだことはすごく良かったと思う。第一話以外でも、店長がじっとこちらを見ているシーンとか、なんとも気持ちの悪い変な映像だった。
映像の方は、積み上げられた人形の残骸や、その上で薔薇の花弁に変わって消滅する真紅、茨に飲み込まれる真紅と二人のジュンなど、本編に関する部分は雪華綺晶の脅威が強調されたものとなっていた。
また、ドールは全て登場し、こちらを睨むような水銀燈に、バイオリンを奏でる金糸雀、その旋律を遮って出現する雪華綺晶、手をつないで見つめ合う双子と、大きなアクションは無くとも絵だけでそれぞれのドールの個性がよく表されていたが、やはり服が消えていって全裸になって手を振る雛苺のインパクトが強いだろう。あれは、雛苺の個性が剥ぎ取られていって、最後はボディだけとなり、そして扉の向こうへと消えていくという本編での境遇が表現されているのだろうが、下手に悲しげなシーンにしたりするよりもこうするほうが曲に合ってるし、やはり記憶にも残るというものである。
最後の方は舞台上にアパートの部屋が作られ、そこでジュンと真紅がお辞儀をするシーンがある。観客は、残骸の人形たち。舞台というイメージはやはりメタ表現を思わせるし、あるいは様々な解釈を視聴者に求めるようなものでもあるのかもしれないが、単純に、雪華綺晶との決戦の場となるのが演劇の舞台であったし、そういうキーワードをオープニングの中で表現するという意味もあったと思う。アパートのドアが開いた場所に現れるのが、まいたジュンと真紅、つまり、舞台上の最終決戦の時に初めて成された邂逅が描かれていることからも、そういう意図が読み取れる。
第一話が放映された時、このオープニングを興奮しながら見たのを思い出す。
思えば、声のキャストはラプラスの魔以外一切変更されなかったが、アリプロもまた、ローゼンメイデンを象徴する声の一つである。

エンディングは、Annabelさんの歌う『Alternative』であった。これまた、このアニメ作品のテーマをストレートに表現した曲名だ。
一方で、歌詞の内容は、オープニングほどローゼンメイデンを意識したものではない。静かな曲調の中で、か細いのに強く響いてくる不思議な歌声は、どうにも不安を煽る。特に、最後に小さな声で「光」と発音されるところなど、歌詞カードにも載っていないし、不思議な感覚を強いものにしている。
と言っても、決して否定的な内容の歌ではない。閉ざされた心の中にも手が差し伸べられ、そして痛みを乗り越えて戦っていく。成し遂げるまで、目をそむけることも、逃げることもしない。こういう風に書くと、えらく力強い歌に見えてしまうが、やっぱりそういうことなのだ。そして、こうして書いてみると、やっぱりこの歌はジュンの心理にマッチしていて、やはりローゼンメイデンのオープニングにふさわしい曲なのだと思える。
映像の方は、レコードが回るところから始まって、謎の部屋が映される。このシーンで出てくる時計は、恐らく斎藤さんの舞台で使われた時計と同じものだろう。こういうところにも、本編のヒントが隠されているのだ。
そして、ローゼンメイデンたちが通りに面した窓の内に並べられている。ムスッとした顔の水銀燈に、寄り添っている双子など、ここでもそれぞれのドールの個性が現れているのだが、雪華綺晶もまた実体を持ち、普通の人形として座っている。そんなドールたちを、男の子が覗きこむ。これは、どういうシーンなのだろう?ドールの上には、『Not for sale』と英語で書かれたボードがあるので、場所はイギリスだろうか。随分と昔のことのようだ。アリス・ゲームが始まる前の、やっと全ての人形が完成したところだろうか?とも思ったが、水銀燈と金糸雀の間に、他の姉妹が知らない時間が存在するはずなので、それは無い。あるいは、特に意味は無い、イメージ映像のようなものだろうか。
その後は、水に浮かぶ真紅と水面に映る鏡像、そして月の満ち欠けを表すライトに、鏡像だけが目を開ける。これは、本編をイメージしたものであるのは明らかだ。
そして、天体の中に浮かぶローザミスティカに、その周りを舞う眠った姿のドール達。彼女たちは、最終回では眼を開く。真紅に至っては、立ち上がってしまうのだ。最終回まであえていつもどおりのエンディングを流すが、こういう細かいところで手を加えるところに好感が持てる。なんとも、希望を感じさせる変化ではないか。
これまでのアニメでは、エンディングはkukuiが歌っていた。オープニングと違い、ここは変更されてしまったが、とても良いエンディングであったと思う。

毎回、放送後に流れる次回予告では、斉藤さんと店長の掛け合いが笑いをとどけてくれた。店長は本編では完全に悪役で、下手をすればローゼンメイデンで一番有名な名言を放った人物であり、ある意味雪華綺晶より恐ろしい存在であるが、この予告編では斉藤さんにこき下ろされて、面白おかしい存在となっていた。
斉藤さんも、女子力マックスの本編とは違い、謎の黒い部分を披露したり世界征服を企んだりとおかしなキャラになっていた。
物語の後半では店長は出てこないが、もし続きがアニメ化されるなら、この次回予告は続いてほしいと思う。

放送終了後といえば、エンドカードも忘れてはならない。エンドカードというか、提供バックか。
最終回の提供バックは、真紅と水銀燈、蒼星石と翠星石が描かれたもの。舞い降りるドールたちが、可憐ながらもなんとも格好いいのだが、金糸雀が省かれているのに笑ってしまった。
第二話でいきなり蒼星石が描かれ、一気に自分の中で期待度が上がったこのイラスト。翠星石と蒼星石のコンビが描かれることも多かったし、それ以外にも魅力的な絵ばかりで、毎回楽しみにしていた。いろいろなイラストレーターの方や、ヤングジャンプで連載する先生方の描くローゼンメイデンは貴重だったし、素晴らしいイラストばかりだった。
公式のTwitterで、ヤングジャンプの連載陣もイラストを描くことを知って、中山敦支先生は絶対に参加されると思ったのだが、実現しなかった。もしこの続きでも同じ企画があるなら、ぜひ中山敦支先生のローゼンメイデンを見たいと思う。
そういえば、アニメが始まるときの号と終わるときの号で、久米田康治先生と矢吹健太朗先生が描くローゼンメイデンのピンナップがついてきた。これもそうとう貴重なイラストである。特に、久米田康治先生は講談社の雑誌で執筆されている方だから、ローゼンメイデンという点だけでなく、集英社系の雑誌で登場されたことも珍しい。



最後に、自分のこと。
自分は、今年で24歳になった。BS-TBSで第五話が放送された日が、自分の誕生日であった。
干支が二回りした年男であり、そして、大学院入試を受ける勝負の年ということで、いろいろと思うところがあった。しかも、誕生日と院試の日は、ローゼンメイデンの放送期間中なのだ。
自大以外の本命は、東京大学の大学院であったのだが、正直、するべき努力は怠っていた。下手をすると、自大の院試に向けた勉強のほうが、身が入っていたかもしれない。
結局、院試には不合格であったが、当然の結果だ。親などは、仕送りをせずに済むので助かるとも言ってくれているし、案外、マイナスばかりの結果ではないのかもしれない。
それでも、この戦いについては、自分を非難する。宇宙科を受けたのは、情報理工は自大の院試と日程が被って受けられないため。精密科にしなかったのは、学歴ロンダとバカにされないため。要するに、どこまで行っても、見栄でしか動いていないのだ。
これからすべきことは、分かっている。誠実に動くことだ。現実を見ることだ。
ローゼンメイデンは、時折どうしようもなく辛辣な言葉が投げかけられる他は、決して珍しいわけでも、深淵で意味を考えこませるようなわけでもないセリフしか出てこない。逆に言えば、それを組み合わせ、話の展開と絵で魅力的なストーリーを作り出すPEACH-PIT先生の手腕に感嘆するところであるが、それはひとまず置いておこう。問題は、自分は、このアニメをみながら、そういったよくあるセリフの数々にいちいち考えさせられていたということである。
ローゼンメイデンのテーマは、現実に向き合うということ。そこからしか、光明は得られないし、逆に、まじめに生きていれば、闇は訪れないということだ。だからこそ、そのテーマを表現する物語に出てくるセリフの数々は、単純なものであっても、不誠実な者に突き刺さる。
物語に感動することは合っても、考えを改めようというところまでは至らない自分だが、ローゼンメイデンを見て、そういう点を改めようと思った。果たして、自分に光明が訪れるかは分からないが、そうしなければ、闇に飲まれる気がする。闇というと格好良く聞こえるが、実際にはそんな美しいものではなく、どうしようもなくくだらない人生が待っているということだ。
二浪を経て、そんなことは分かっているつもりだった。それでも、現実を見れなかったのだ。現実を見たら終わり、なんて思ってすらいた。
ふてくされている場合ではないのだ。そんなことをしている間に、できることはいくらでもある。失敗は糧にしなければならない。人間たるものの、ごくごく当たり前のことだ。

あと、自分が知っているひとが、この夏ふたりも亡くなった。
どちらも、自分の母校である高校の先生だ。
一人は、自分が大学に合格してから入ってきた数学の先生である。非常に有名な方で、自分の母校以外でも、有名進学校で教えておられた先生だ。なんと、遠方での講義のため、出発の準備をしている最中に亡くなったと言うし、その日の午前中は授業をされていたのだから、正に生涯現役を貫いたわけである。
亡くなる少し前、本当に、一ヶ月も開いていないくらいの時に、母校にて泊まりのバイトをしたが、その際には病気のことやこれまでの人生のことなど、いろいろなことを語ってくれた。控室で、ふたりきりの空き時間が出来たときだ。すごい人生だなぁ、などと思っていた。その時は、久しぶりにお会いして、余りにも痩せておられたので驚きの方が強かった。「声が出なくなるまでは、教師を続ける」と言い放ったのが凄く印象に残っている。本当に、教師という仕事を愛していて、そして、仕事にも愛されている人だと思った。
あの、一時間ほどのお話を、自分はきっと忘れない。
もう一人は、先日も書いたように、理事長である。この方を知る人は、誰もが口をそろえて、「あの人は立派だ。誰にも分け隔てなく優しい人だ」と語るような人物であった。自分もまた、高校時代に少しお話したことがあるが、とても優しい人だった。
葬儀の時に聞いた話では、なんと30代の半ばで校長の職につき、以後50年近く学校を守り続けていたのだ。器の大きな人間にしか出来ない仕事である。
どちらも、とても立派で、多くの人が集う葬儀であった。


自分は今、卒論のための研究を始めている。これからは毎日大学に行くことになるし、大学院に進んでも同じような日々を送るだろう。大学院を卒業し、就職すると、もっと忙しくなる。夜中まで起きて、悠長にリアルタイムで深夜アニメを見ていられるのは、2013年の夏が最後の期間であったのかもしれない。それでも、大学院入試という大きな転換期があったくらいなのだ。
あるいは、金曜や土曜に放映されるものなら見られるのかもしれないが、月曜の夜中という、絶対に夜更かしなど出来ないタイミングで毎週こんなことが出来るのは、これが最後だろう。
この大学院入試が、自分の最後の現実逃避であった。そして、そんな現実逃避は、見事に打ち砕かれた。そして、そんな私に、いろいろなことを考えさせてくれたのが、中学のころから好きでいた、ローゼンメイデンという作品であった。未来を夢想する自分に、過去から何かを教えてくれた気がするのだ。馬鹿げた発言かもしれないが、本当にそんな気がする。
放送時、その当時に考えていたことを振り返るために書いたこのブログ。ネット上の日付は、自分ではどうしようもないものであるから、確実にその日に書かれたものとわかるので、あえてネット上で書いた日記である。
『ローゼンメイデンの感想』と書いたように、このブログの役割は終わったわけだが、さてこれからどうしようかと迷っている。
原作の連載にあわせ自分のことを書く、月イチの日記として続けるのも良いかもしれない。少なくとも、次のアニメ化までは残して、続きを書かなければならないのだから。

とりあえず、その時までに、自分が少しでも真っ当な人間に変わっているように。これからすべきことは、そうなるように向けての努力だということは分かった。
何年後かに、この投稿を見た時、青臭くて馬鹿みたいで、笑ってしまうことを期待する。

2013年10月1日火曜日

ローゼンメイデン 第十三話

7月から始めた、日記を兼ねたローゼンメイデンの感想も、遂に終わりを迎える。
ローゼンメイデン第十三話、最終話である。

全てを終えて、元の世界に戻ってきたジュン。
舞台は無事に終わり、キャストは衣装もそのままに、打ち上げが開かれる。
座長に絡まれたり、斉藤さんの兄貴にビールを飲まされたり、すっかり劇団の一員となった様子のジュン。彼自身が作った、己の居場所なのである。
そんな中、斉藤さんから、舞台で使った人形を返される。雪華綺晶が現れるまで、真紅が演じた人形。しかし、渡されたのは、雪華綺晶に似たアンティークドール。もとに戻ったと言っても、それは、ローゼンメイデンが現れる前の、正しい世界に戻ったということ。ジュンは、確かに真紅と別れたということだ。
真紅の夢を見ながら目覚めたジュンは、猫のティーポットを使ってお茶を沸かす。もう、もう一人の自分とメールは通じないし、淹れた紅茶を飲んでくれる、小さなご主人様も居ない。あっさりともどってしまった日常ではあるが、それでも絶望したりせず、現実を受け入れられる程度に成長したジュン。今なら、店長も適当にあしらえるだろう。
バイトの帰り道、斉藤さんと楽しく話すジュン。劇団は楽しいというジュンに、斉藤さんも嬉しそうだが、大学に行ってないジュンを心配してもくれる。こんないい娘、めったに居ないぞ!絶対に一緒になるんだ!などと思ってしまった。
斉藤さんが言うように、ジュンは自分で居場所を作っていける。やるべきことをしっかりとやるヤツだから、店長みたいなクズでない限り、ジュンを無碍に扱うようなヤツは居ないのだ。ジュンに足りなかったのは、自分も人の役にたっているという自覚。それは決して自意識過剰なわけではなく、むしろ、自分を必要以上に卑下しないためのもの。

ジュンの内面がいろいろな成長を遂げた一方、彼を取り巻く状況にも変化が現れる。本社の部長が、いつもまじめに働くジュンに注目するわけだが、自分はこのシーンを是非アニメで見たいと思っていた。このシーンは、次の店長のセリフに繋げるためのものでしか無いのかもしれないけれど、実を言うと、自分はいま正に、ある一つの戦いに敗れたところだ。そして、そのことを恩師に伝えた時に言われたのは、部長さんが言ったことであり、真紅がずっと言っていたことだった。
道は一つじゃない。やろうと思えば、どんな場所からでも、どんなところへでも行ける。一つの方法が駄目なら、別の場所で頑張るなり、別の方法でそこへ到達するなりすればいい。
そんなことを言われたのだ。
なんとなく、ローゼンメイデンの物語を思い出すセリフである。もちろん、恩師はローゼンメイデンなんて知らないので、ただの偶然なのだが、やっぱり感動してしまったのだ。
ジュンの目の前に選択肢が現れたように、自分で選択肢を作っていけば良い。そんなことを思い出させてくれる、巻かなかったジュンの物語は、これにて幕を閉じた。

が、ローゼンメイデンたちの物語は終わらない。
まかなかったジュンの物語は、ヤングジャンプ版ローゼンメイデンの第一部とでも言うべきもの。
不気味に蠢く白いイバラが映し出され、場面はまいたジュンの世界へ。

翠星石の”あたたかい”見送りと、『あたたかい』を変に強調する真紅に笑ってしまったが、その後すぐにジュンが倒れて、シリアス展開に入ってしまった。
真紅が猫を嫌っている微笑ましいシーンなども挟まれつつ、何気にのりがまともに登場したのもこれが初めてだと思う。ローゼンメイデンを見始めた頃には、のりのほうが年上で、まさにお姉さんという感じだったのに、いつの間にか自分の方がかなり上になってしまった……
ジュンが倒れたことを受け、雪華綺晶の復活を予感するドール達が集まるのだが、そこにはやはり水銀燈は居ない。流石に、あれだけ格好良く立ち去っておいて、すぐにパーティに加わっていたら拍子抜けだし、そもそも水銀燈はめぐの意識を取り戻すという彼女自身の戦いがある。今も一人で、どこかで戦っているのだろう。
そして、金糸雀は嫌な予感がすると言うが、実際にみっちゃんが襲われてしまう。みっちゃんも、ちょこちょこ姿は出ていたが、まともな登場はこれが初めてだ。それにしても、みっちゃんはみんなにみっちゃんと呼ばれ、敬称もみっちゃんさん等と呼ばれているが、すごくしっくり来る扱いだと思う。みっちゃんというキャラクターは、どこまで言ってもみっちゃんである。そういうわけで、そんなみっちゃんの活躍も見てみたかったが、そこは残念ながらカットされてしまった。

このシーンは、どうやら真紅達が元の世界に帰って少ししてからのことらしく、ジュンの方でも、またもや変化が現れた。いったいどのような選択をしたのかは描かれていないが、どうやら大学でも友達ができたらしい。ちゃんと、自分の現実を受け入れて頑張ってるのだ。偉いなぁ。
そんなジュンは、例の絵本を取り出す。最後に書かれたのは、「わすれないで」という真紅の願い。女の子が最後の人形に託した「一番大きくて大切な願い」が何なのかは分からないが、少なくとも真紅の願いは、この6文字なのだと思う。そして、絵本を朗読していた声は沢城みゆきさんだったが、あの声は多分、真紅のものだったのだろう。真紅が物語を読み、最後に物語とリンクするように、大切な願いを書き込んで、絵本に託したのだと思う。
が、その直後、ジュンのもとにテレビ電話の着信が入る。出てみると、見覚えのある胸元。まさかの蒼星石だったわけだが、クールでしっかりものな彼女が携帯を使いこなせていないのはなんとも可愛らしい。そして、蒼星石をどかして映るのは、翠星石と真紅。『わすれないで』と書き残しておきながら、直後にまた現れたのだ。
それにしても、注目すべきは、翠星石のツンデレぶり。別れる前には、わざわざ礼をいうついでに悪態まで吐きに来た翠星石だが、真紅を差し置いて真ん中で一番大きく映って手をふっているのだから調子が良いものである。
しかし、真紅以上にもっと思いがけないのは、巴との再会である。今はもう会わなくなった幼なじみの、数年前の姿となると、接し方がわからないだろう。柏葉さん、なんていう、かつては使わなかった呼称を使っていたりして、笑ってしまった。それにしても、巻かなかった世界の巴は、今どうしているのだろうか。ジュンなんて放っておいて、自分の人生を歩んでいるだろうし、ひょっとしたら、その方が巻いた世界の巴よりも幸せなのかもしれないが、なんとなく気になる。まあ、こちらのジュンには斉藤さんというお相手が居るので、もう巴と会う必要も無いし、会わないほうが良いのだろう。
そんな巴や真紅からの説明を受け、巻いた世界のジュンが大変なことになっているのを知った、巻かなかったジュン。少しばかり動揺するも、今度は自分が助けに行くことを決意する。
2つの世界を繋ぐのは、風呂場の鏡。ホーリエが世界を繋ぎ、ジュンが覗きこんだところでドアが閉まり……ラプラスの魔の一礼とともに、物語は終わる。

Aパートが物語のエピローグを描いたのに対し、Bパートはかなり端折りながら、次なる展開のプロローグを描いていた。
第一話も、前日譚のダイジェストという形で、物語の始まりに至るまでのストーリーが丸々一話を費やして描かれたが、最終回もまた、次のストーリーの始まりを描く形となった。
ラプラスの魔がお辞儀をして終わるところなど、終幕というよりは、一旦休憩に入る区切りのような印象である。
これは、この続きがアニメで描かれることを期待しても良いのだろうか?原作はまだまだあるし、可能ではある気がする。それどころか、ここからの原作の量が、明らかに1クールでは消費できないほどあるし、まだ完結しても居ないわけだから、全然余裕だろう。寧ろ、これらをどうまとめるかが心配なくらいだ。
是非とも、この続きもアニメ化して欲しい。

それにしても、Bパートはかなり端折られていた。
くんくんのベロを集める話とか、復活した蒼星石がいろいろする話とか、ぜひ見てみたい話が多かっただけに少し残念である。新たなドールとの出会いを経て更に活躍するみっちゃんの姿も、ぜひ見てみたかった。
ただ、次への繋ぎを最終回の中で描いて終わるには、どうしても雪華綺晶が暗躍し始めるところは出さないといけないだろうし、そうなると、巻かなかったジュンに連絡が入るところで終わるのが、霧が良いのだろう。ここから直接つながらなくてもいいので、こういった話も入れた上で、この続きをやってほしいと思う。切実に!



TBSで最終回が放送された日に発売のヤングジャンプで、公式ホームページで行われていたベストシスターズ投票の結果発表がなされた。
第一位は、大方の予想通り、翠星石と蒼星石の庭師姉妹。7人の姉妹の中で、この2体は、ずっと特別な関係として描かれていた。この結果は当然である。
このコンビが描かれたイラストは、提供バックでも何度か見られたが、最後はやはり本家PEACH-PIT先生のイラストでしめるということだろうか。私自身も、このふたりが大好きなので、新しいイラストが見られて凄く嬉しかった。
小説が発売されたり、公式ホームページで壁紙が連続配信されたり、今期のアニメ放映中は、双子の庭師がずいぶん推されていた。嬉しい限りである。
さてさて、注目するべきは、一位だけではない。三位の水銀燈と真紅のコンビは予想通りであったが、二位が水銀燈と金糸雀というのは意外だった。真紅と雛苺だと予想していた。この二人が、他の姉妹には無い時間を知っていることは、原作で一度だけ書かれただけ。いつもは翻弄される金糸雀が、水銀燈をからかうという珍しくも微笑ましい一幕であるが、物語に絡むようなものではない。それでも、非常に印象に残るシーンであるし、多くの人の記憶に残ったということだろう。
庭師の双子のイラストはとても嬉しいのだが、せっかくなら、水銀燈と金糸雀の描きおろしイラストを見てみたかった気もする。もうこの二人が並び立って描かれる機会も無いだろうからね。


さてさて、ひとまずの終わりを見せたローゼンメイデンの感想ブログであるが、全ての放送が終わる日、つまり、BS-TBSでの放送が終了するときに、もう一度更新しようと思う。最後に、今回のTVシリーズ全体というか、この三ヶ月の自分自身を振り返ってみようとおもっている。


最後は、真紅。
MBSで第一話が放送されるとき、同じようなポーズで、後ろに手を差し出した真紅を描いた。
今回は、前に手を差し伸べる真紅を描いてみた。
ローゼンメイデンは、真紅に始まり、真紅に終わる!

2013年9月29日日曜日

描いた絵をアップする

描かなかった第八話の絵と、描けなかった第十二話の絵。
十二話は、雛苺を描くつもりだったが、時間が足りなくて無理だった。この絵は、放送日当日の夜に描くと決めていたので、急な予定が夜に入ったりすると一気に厳しくなるのだ。



2013年9月24日火曜日

ローゼンメイデン 第十二話

第十二話。ここで終わるアニメも多いが、ローゼンメイデンはきっちり一クール分、十三話放送する。今期のアニメは、全十三話のものが多い気がするが、ちょっとだけ珍しいことかもしれない。

冒頭、雛苺が出てきた。
真紅のボディを守っていた雛苺。今期のアニメでは、どうしても出番が少なくなってしまうが、こうして回想シーンをはさみながらちゃんと出番が用意されているところに好感がもてる。
雛苺の、『眠り』に対するひとつのトラウマ。明るく、天真爛漫な彼女でも、永らく生きてきたドールであり、そして、永らく死んでいた存在でもある。自分のマスターである巴にワガママを言ったりするのは、幼さだけのせいではないのだ。
健気にも真紅のボディを守り続けていたその姿に、雛苺の堅い意思と、優しさが見て取れると思う。幼子ではあっても、誰かに依存するだけの存在ではない、そんな雛苺である。
今回のアニメの雛苺は、前回に比べると、かなり女の子らしく描かれていると思う。絵柄の問題といえばそれまでかもしれないが、より繊細というか、華奢な感じが強調されているようである。尤も、前回のアニメでは、タックルをしかけたりと、意外にも武闘派の戦いかたをするようなドールだったので、こんなに弱々しくては駄目なのだろうが。どちらにしても、雛苺というキャラクターの主な役割は真紅の妹分であり、旧アニメでは真紅に従って戦う姿で、今回のアニメでは真紅を守る姿でその役割を果たしているわけである。
あと、雛苺の声優さんは野川さくらさんだが、この人の声は本当に久しぶりに聞いた。前のアニメでも、すでに雛苺という役を完璧に演じて、キャストの中で一番役にハマっているのはこの方だと思ってたが、今回はさらに演技力が上がっていて、声優さんはすごいものだなぁ、などと感心した。

一方、ドール達は、せっかく雪華綺晶を倒したというのに、絶望の中に居た。時折挟まれる、『私達は、絶望するために生まれてきた』というモノローグが、雰囲気をより一層引き立たせる。
水銀燈にローザミスティカを差し出そうとする蒼星石。それを止めようとして泣く翠星石。崩れ落ちた真紅と、それを見て震えるジュン。せっかく迷いを断ち切ってここまで来たのに、守りたいものを守れなかったのだから、それは泣きたくもなるという話だろう。しかし、ここに登場するのが、希望の象徴、我らが金糸雀とまいたジュンである。
けっこうな高さから落ち、頭をしこたま打ち付ける金糸雀。もはや誰もツッコミを入れず、金糸雀自身も特に何も言わず話を続けるのが面白かった。最後までペースを崩さないところが流石である。
安西先生よろしく、「あきらめたらそれで終わり」と叫びながら真紅のボディを持ってきたジュン。
ボディに首を装着するのは、もう一つの真紅のボディを組み立てた、まかなかったジュン。しかし、彼は飽くまで、真紅の仮の姿を製作した人間であって、真紅の仮しもべでしかない。ネジをまくのは、真紅のマスターたるまいたジュンの役目。まいた世界とまかなかった世界、ふたつをつなぐのは、侵略者である雪華綺晶でも、まかなかったジュンの人形である蒼星石でも、自らの力で渡り来た水銀燈でも、両者の窓口となった金糸雀でもない。ふたりのジュンの手で作り上げられた、真紅なのである。そして、真紅を目覚めさせるときに防御を忘れるジュンたち。みんな、どれだけ変わっても、こういうところはペースを崩さない。

真紅を守る雛苺の話を聞き、狼狽する水銀燈。蒼星石自身が負けを認めたところで、それは絶対に本心になどであるはずがない。真にローザミスティカを手に入れるには、相手を叩きのめすのでも、蒼星石がいうところの『契約』を結ぶのでもない。もっと他の何かが必要になるのだ。しかし、それを知ってもまだ水銀燈は、「正攻法では勝てない」と考える。アリス・ゲームは、少なくとも水銀燈の中では、まだまだ只の潰し合いであり、その必勝法を探そうとしているのだ。
水銀燈は、一足先にもとの世界へ戻ろうとする。思い出すのは、めぐとの記憶。めぐの話はなんとも妖しいものばかりで、いかにも厨二病的。我々視聴者には、とうてい理解できるものではないし、それはどうやらめぐの周りの大人達も同じらしいが、それでも水銀燈にとっては唯一のこころのよりどころであり、この二人の間には、二人だけの世界が広がっているのだろう。

さてさて、水銀燈が去ったところで、こんどはジュンとドールたちも元の世界へと戻らなければならない。
まいたジュンも、まかなかったジュンも、この戦いのなかで、間違いなく何かを手に入れ、成長している。主に描かれたのはまかなかったジュンであり、その集大成は、きっと次の話で描かれることになるのだろうが、今はまず、別れを済ませなければならない。
出会ったばかりの、『自分だけのドール』たる蒼星石との別れ。現実を正しく見て、自分なりに生きれるようになったジュンにとっては、寂しくて辛いことではあっても、決して恐ろしいことではなくなっている。そして、ジュンのドールとして再生し、再び翠星石と出会えた蒼星石にとっても、ジュンに作られたことは幸せなことであった。
ジュンも、真紅も、蒼星石も、それぞれの世界へ旅立っていく。まかなかったジュンにとっては、これはただの夢にすぎない。彼がこれから戦う場所は、現実であり、彼自身の人生なのだ。しかし、まいたジュンは、まだまだローゼンメイデンによる夢のような戦いを続けることになる。どちらが幸せで、どちらが不幸かなんてことは無い。それは、自分自身が決めていくことだと、きっと二人のジュンはもう気づいているのだ。
そして、ジュンは夢からさめる。隣に水銀燈は居ない。舞台上に真紅は居ない。斉藤さんのセリフの続きは、なんとも拍子抜けなコメディチックな展開。舞台は、現実の中で続いていく。
しかし、ジュンの中には、ずっとドールが居続ける。ジュン自身が作り上げ、無限の可能性を指し示したドールたる真紅。彼女が消えることは無いのだ。

今回の絵本は、六個目の人形が恋人を与えてくれた。しかし、理想的すぎて、すぐに別れる。前回とは違い、人形は願いを歪めずに叶えた。問題があったのは、女の子の方。だからこそ、おじいちゃんが死んだ時と違って、今回は教訓を得た。
すっぱいぶどう、なんて言葉もあるが、案外、樹の上のぶどうは、熟れすぎて食えたものでは無いかもしれない。過ぎたるは及ばざるが如しというように、自分にとってベストなものは、自分の身の丈にあったものなのだ。
この話は、理想を叶えた結果として雪華綺晶を生み出したジュンのことを表しているのだろう。しかし、これもたいがい悪いクセだと思うが、どうしても自分のことに重ねて考えてしまった。
あるいは、すっぱいぶどうというものもまた、現実を生きる知恵なのかもしれない。
真紅は、「女の子でも、大人になればお人形遊びを卒業していく」と言った。だからこそ、大人になったジュンは、真紅と分かれたのだ。
大人になったのに、まだありもしない夢を追って、躓き続けている自分を戒められた気がした。



今日はあまりにも多忙で、朝から家を出て、帰ったのが11時45分であった。
この絵は、絶対に12時までに描くようにしているので、のこり15分で描いて、アップしたので、今回はかなり手抜きになった。
せっかくなので、次の土曜日に、絵もあわせてもう一度更新する。

2013年9月17日火曜日

ローゼンメイデン 第十一話

7月に始まったローゼンメイデンも、いよいよラスト3話。
最後まで、しっかりと見ていこうと思う。

さて、冒頭でいきなり、先生にパワーアップした金糸雀がジュンを呼ぶために退場し、少し場が寂しくなったところで、提供の裏でほっぺをつねられる翠星石がどうにも変態っぽくて笑ってしまったわけであるが、ストーリーはいたってシリアス。
しかし、ドール達が立っている中、翠星石だけが寝ているシーンはちょっとシュールだった。

ジュン自身の問題が片付き、とりあえず全員が合流を果たしたものの、蒼星石と翠星石のちからを合わせなければ時計は動かない。
そのため、まずは双子が両方共立って動いている状態にするため、水銀燈から自分のローザミスティカを取り戻す蒼星石。
蒼星石と水銀燈の間で舌戦が繰り広げられる中、ジュンが横槍を入れるも、水銀燈に一蹴される。戦うために生まれた存在であるとは、なんとも悲しい存在のドール達。しかし、今は争っている場合ではない。なんとかこの場から脱出せねばならないのだ。
この交渉、明らかに蒼星石が不利であるように見える。蒼星石は、交渉のカードを持っていないのだ。水銀燈に負けを認める、などというのは、それこそ口約束であって、何の保証もできるものではない。それでも水銀燈が信じたのは、元の世界へと帰るためという現実的な目的だけでなく、蒼星石の愚直なまでの誠実さを知っていたからだと思う。こうして、お互いのメンタリティというか、個性みたいなものを分かり合ってるあたり、普通の人間の関係と変わらない。そう思うと、水銀燈が語った『ローゼンメイデンの存在価値』が、あまりにも悲しいものに見えてくる。
無事にローザミスティカを取り返した蒼星石は、しばし翠星石と戯れる。双子の関係性が良く示され、どちらも可愛らしく描かれたシーンであるが、森永理科さんが演じる蒼星石と、桑谷夏子さんが演じる翠星石、と考えれば、二人の再開は、実に9年ぶり。今回の話は、見ている間にずいぶんと前のアニメのことを思い出すが、このシーンがキッカケとなっている。制作している側の意図とはまったくもって合っていないだろうが、それでも、感慨深くなるシーンだった。
水銀燈にも、ジュンにも、わざわざお礼代わりに妙な悪態をつくところが、翠星石のすごいところである。さすがツンデレの代名詞。デレても刺々しい!「べっ!」が可愛かった。

ドール達がそんなことになっている一方、ジュンはラプラスの魔と遭遇する。
どうにも立場の分からない不思議なウサギであるが、原作未読の人は、いきなりストーリーに絡みだして驚くのではなかろうか。
ともあれ、謎のウサギとともに森の中を進み、谷底に真紅のボディを発見するジュン。ひきこもりが外に出たと思えば、樹海……たしかに悲惨な話で、笑ってしまった。
金糸雀が帰ってくるも、さすがに谷底に降りるのは厳しい。肝心なときには役に立たない、今回も期待を裏切らないフライング乙女は、谷底に光を見つける。

そして、今回の見せ場となるシーン。
ついに揃った双子が、ジュンの命令を受け、時計を動かす。
ジュンの命令は、「もとの舞台を」である。「新しい世界」なんてことを言ってたかつてとは全く違う。かといって、「もとの世界」なんていうだいそれたことも言わない。あくまで、自分の周りの現実に目を向ける、成長の証だと思った。
このシーン、背後が時計になっていて、原作の印象的なシーンをより強い印象にしていて、とても良かった。ただ、植物を育てるときの、背景がカラフルなのはちょっとどうかと思う。
ここは、少し理屈とかがわからないのだが、世界樹の枝をその場に出現させることにより、世界の中に流れる生命=時間を時計に与えることにより、時計を動かした、というような抽象的な話であろうか。そして、抽象的な世界、すなわち植物を育てることが如雨露の役割であり、育った植物から生え、時計に絡まった蔦、すなわち物理的な障害を取り除くのが鋏の役割なのだと思うことにした。そういうわけで、最後の仕上げで時計へと乗り込む蒼星石。作業を進めていくなか、雪華綺晶が出現する。
しかし、ボディを持たず、既に力のぶつかり合いという戦いには敗れた雪華綺晶は、己の中の境界線を取り払い、前に進む決意をしたジュンの敵ではない。自分の心のありのままをぶつけ、真の『自分だけのドール』たる蒼星石を抱きしめながら、イバラを突破する。この時、ジュンはついに、真の意味で己の中のしがらみを断ち切ったのだろう。
そして、そのしがらみこそが自分自身の存在を世界に繋ぎ止める糸であったのが、雪華綺晶である。肉体も、存在の糸をも失った雪華綺晶は、断末魔をあげながら四散し、滅んでしまう。
一方、金糸雀とジュンが見つけた谷底の光は、ベリーベルと雛苺のローザミスティカであった。ずっとこの場所で、真紅のボディを守っていた雛苺。姉妹の絆は、その命が失われた程度で断ち切れるものではない。ひょっとしたら、雪華綺晶をこの世に繋ぎ止めるジュンの思いが簡単に断ち切られてしまうようなものであったのと、対比になっているのかもしれない。
世界からの脱出、真紅のボディの発見。
成すべきことが、両方共成されたものの、タイムリミットは迫っていた。
時間が動き始めるとともに崩れる真紅と、蒼星石からローザミスティカを奪い返そうとする水銀燈。
一瞬の喜びもつかの間、ローゼンメイデンの宿命は、どこまでも絶望的に動き続ける……というところで次回に続く。

冒頭、「あったことをあったことに、なかったことをなかったことに」「元の世界を、もとにもどす」みたいに、言葉遊びみたいな言い回しが出てきた。
ローゼンメイデンは、モチーフこそファンタジックで幻想的なので、こういう言い回しがたくさん出てくる印象があるが、意外と珍しいと思う。
特に、金糸雀なんかは、語尾にかしらとつくものの、余計な言葉を付け加えたりする印象が無いので、ちょっと新鮮に思った。

今回の絵本は、5個目の人形が開かれたが、おじいちゃんが死んでしまった。
何やら願いの叶え方が歪んだものになってきて、少し先行きが不安な感じである。

今回は、失われたドール達の活躍が目覚ましかった。
前回復活を遂げた蒼星石は、主人公たるジュンのドールとして、大活躍である。今回の主役は、間違いなく蒼星石であろう。
先にも述べた通り、蒼星石と翠星石は、アニメにのみ着目すれば、実に9年ぶりである。自分としては、この二人の声は、森永さんと桑谷さんしかありえないとおもっている。なんというか、すごくハマっていると思うのだ。だから、この二人が演じる彼女たちが対面するシーンは、あまりにも長い時間を経た再開のような気がして、本当に感慨深かった。
雛苺も、同じである。今回のアニメでは、原作に則っている以上仕方ないことではあるが、野川さくらさんの声があまり聞けないのが残念である。野川さんは、第一話でも演技力を魅せつけてくれたが、前回のアニメの時から、雛苺の演技はすばらしかった。
今回は、声は無かったものの、雛苺の静かな活躍が描かれた。

高校生の頃、トロイメントのラストシーンで、蒼星石と雛苺のローザミスティカを手に時の狭間を浮遊するラプラスと雪華綺晶を見て、いつか続編が作られると思っていた。
雪華綺晶の暗躍が、彼女ら二人の復活が、いつか描かれると思ったのだ。
その直ぐ後に、シャナがオリジナル展開に入った時も。翌週になり、びんちょうタンが始まっても、ずっとそう思っていたのに、いつか忘れてしまっていた。忘れるくらい、あまりにも色んなことがあった。
なんとなく、あの時のことを思い出した、今週のローゼンメイデンであった。


今日はやっぱり、このシーン。
「命令を」のシーンである。
個人的に、今日一番のハイライト。



2013年9月10日火曜日

ローゼンメイデン 第十話

第十話。ついに二桁である。

今回は、ジュンが蒼星石と契約するお話。すなわち、蒼星石が復活する話だ。
蒼星石のボディを守るために乱入するも、結果的に雪華綺晶に味方する形となった翠星石。
どうしようもない膠着状態を打破するため、ジュンは真紅との契約を結ぼうとするも、雪華綺晶の妨害により叶わない。それどころか、雪華綺晶は自分の指輪を取り出し、自分との契約を結ばせようとする。このくちづけのシーンは、実に妖しく、不気味である。
一方、翠星石は、蒼星石とジュンを契約させようとするも、水銀燈は先にジュンと交わした約束を持ち出す。そして、真紅は、仮のボディのタイムリミットが迫る。
雪華綺晶が敵であることは共通していても、ローゼンメイデンは決して一枚岩ではないのだ。契約するドールを選ぶことになったジュンは、美少女たちが自分を取り合っているという夢の様な状況なのに、まったくもって羨ましくない。
メイメイとスイドリーム、人工精霊どうしという珍しい戦いが繰り広げられたあと、イバラが切れて地面におちた拍子に、ジュンは蒼星石の指輪にくちづけをしてしまう。
そして、あまりにも役者が揃い過ぎたこの状況は、お父様ことローゼンの導きによるものであることが判明すると同時に、蒼星石のボディが、ついに雪華綺晶から分離する。翠星石は、自分のローザミスティカを、妹である蒼星石に捧げる。このシーン、翠星石は一度だけ水銀燈に蒼星石のローザミスティカを返すよう説得するも、成らぬとわかれば何のためらいもなく自分の命を捧げるという、彼女たちの特別な絆が描かれたものとなっている。
そして、ローザミスティカを捧げたその瞬間、世界に異変が起こり、時計が全てを連れ去ってしまう。

Bパートは、ドールとジュンが引き離される。
ジュンの方は中学生ジュンと金糸雀の居るところへ飛ばされる。過去と未来、まいた世界と巻かなかった世界、絶対に交わることのない二人でありながら、同一人物というなんとも奇妙な組み合わせの対話が始まる。
そして、ジュンは過去の自分に対して、ひどく陰鬱な現状を吐露するが、がっかりするかつての自分を見て、気づく。自分が語っているのはただのいいわけであり、自分で勝手に選択肢を摘み取っているにすぎない。自分を否定しているのは、他でもない自分自身であるということに。
進むべき道に気づいたとき、第零世界から脱出がかなったジュン。
一方で、ドールたちは、復活した蒼星石に対する困惑が広がる。と言っても、主に困惑しているのは水銀燈のみ。かつて命を奪ったはずの蒼星石が、確かにその場に居るという事実に対する混乱である。ボディを奪われた雪華綺晶の方はと言うと、実体を持たぬ姿を恥じて何処かへ消える。
そして、金糸雀の活躍によってジュンはドールズの元へたどりつき、金糸雀が指す方向に大時計を見るところで、次回に続く。

今回は、蒼星石の復活と、ジュンが現状を打破したことが印象的な話であったが、金糸雀の活躍も、大きなみどころである。今回は、見どころがかなり多い話だ。
二人のジュンが話している時にうたた寝をしてしまったり、細かい動きが可愛らしいのももちろんだが、ジュンの手にまとわりつく光に気づいたり、格好いい活躍もした。平行世界への扉に囲まれながら、ローゼンメイデンとは何たるかを語るところとか、頭が良さそうでいいかんじだったのに、傘が飛んでいったらそちらを気にしているところが可笑しくて、どうにもシリアスにはなりきれない感じ。
ヴァイオリンを奏でることで、雪華綺晶が創りだした水晶の結界を破壊するシーンは、周りが金色になって、まさに金糸雀の独壇場。こういうシーンは、色がつくことによってより印象的なシーンになるし、何より音というものがメインに据えられるわけだから、漫画で見るよりも、アニメという表現のほうが適しているシーンだと思う。周りが金色になるところとか、いかにもそこが金糸雀のフィールドになったことが現れていて、凄く良かった。
初登場以来、謎の存在感を放っていた「かしら」という語尾にツッコミが入ったことにも注目である!真っ赤になったり、へたりこんだり、なにかと愛らしい金糸雀である。
それにしても、乙女番長とは……一体なにを思ってこんな肩書を名乗りだしたのだろう(笑)

翠星石の策により、ついに復活した蒼星石。
翠星石は、なんの躊躇いもなく蒼星石にローザミスティカを捧げた。
真紅と水銀燈の間にある、なんとも複雑な関係とは違う。真紅と雛苺の間にある関係とも違う。
互いが、自分の命よりも大切な特別な存在であるという、双子ドールの特別な絆。
原作を読んでいれば周知のことであるし、アニメでも既に語られているものだが、これを限られた時間の中できっちりと描いているところに好感が持てる。
そして、復活後もナチュラルにセクシーな言い回しをする蒼星石……見た目に似合わぬたらしで面白い(笑)

ジュンは、ついに光明を見つける。
過去の自分との対話、というのは、とても大切なことだと思う。
何かに失敗した時、人はどうしても過去の自分に対する言い訳を考える。どうせ最初からダメだったのに、なぜあんなことをしようと思ったのだ、とか。すっぱいぶどうなんてのも、手に入れられなかった今の自分が、手に入れようとしている過去の自分を否定する行為を表すたとえだと思う。何れにしても、過去に対して言い訳をしながら、今の自分をなんとか正当化し、なぐさめようとしているのだ。
ジュンは、過去の自分が「すごい」なんて純粋な気持ちで言ってるいろいろなことを、頑なに「大したこと無い」とか言って否定してしまっているのだ。だれも、彼に対して否定的なことは言っていない。かつての自分は賞賛を送り、その場に居るドールは寝ている。そんなことを言っているのは、彼以外に誰もいない。
ジュンは、文字通り、過去の自分と対話することにより、そういうことに気づいたんじゃないかと思う。なにをどうしても、過去は変えられない。変えられるのは未来だけ。かつて真紅が語ったその言葉の、本当の意味がわかったのだ。
過去にどんなことがあって、現在がどのような暗い状況にあったとしても、未来への希望だけは捨ててはいけない。これは、どん底の中でも残された最後の光なのだ。これを捨てた時点で、人間は死ぬしかなくなる。逆に言うと、死に至っていない時点で、希望を捨ててなんかいない。なんとか自己肯定しようと、過去に対する言い訳をしているにすぎないのだ。
残念ながら、自分は今このような状況に陥っている。
もう少し、もう少しだけ暗い気分に浸るとして、もう一度、この会話を見返してみようと思う。

次回予告のテーマは『図星』
変なお店というワードが出てきたり、珍しく店長が主導権を握ったり、斉藤さんが謎の本性を表したり、どうやらこちらも佳境へと突入したようである。


 
いつも、事あるごとに蒼星石を描いているものとしては、今回は蒼星石の復活を記念して彼女を描くべきだと思ったが、やはりやめることにした。自分の人生における大きな出来事が、ひとつあったためだ。そちらについて、蒼星石を描くことにした。
だから、今回は、ジュンである。
今の、そう、まさに今日の私の心に響く会話をしてくれた、この二人(一人?)を描いた。
それにしても、男性キャラを描くのは難しい。
 
2020年のオリンピック開催都市が東京に決まった。
AKIRAが予言をしていたみたいでびっくりだけれど、あんな荒廃した世界とは真逆の、明るい日本が出来たらいいな、と思う。

2013年9月3日火曜日

ローゼンメイデン 第九話

第八話の感想を書いたところだが、第九話である。
この話は、既に東京でも見た。

斉藤さんが所属する劇団の公演に来たジュンと、小道具として出演することになった真紅。
そして、そんなふたりを追い暗躍する水銀燈……と思いきや、水銀燈は早くも表に出てきた。
ジュンの隣に座る水銀燈だが、これはなんとも危なっかしい。声を潜めたりせず、普通に話していたが、大丈夫なのだろうか?
公演の方は、真紅がひっぱられて不機嫌になったりしつつ、無事に進む。時間軸を超えて受け継がれる、人形の記憶をめぐるストーリーは、ローゼンメイデンの境遇に通じるものもあるが、それは重要なことではない。
ハリボテの時計が鳴り始めると同時に、まいた世界とまかなかった世界が重なり、遂に雪華綺晶がその姿をあらわす。
ここからはバトルパートに移るわけであるが、やはり水銀燈が動くと、迫力がある。真紅のローズテイルも華やかな技ではあるが、黒い塊となった翼を振り乱し、無数の白いイバラとぶつかりあう様は、真紅の技には無い暴力的な迫力があるのだ。やはり、巨大なものどうしをぶつけあうような闘いは格好いい。
そして、そんなバトルの中で明かされる雪華綺晶の目的。彼女は、ローザミスティカを手に入れてアリスになるのではなく、飽くまで人形のまま、どんな姿にもなれるような存在となること。バラバラの7つをあわせて1つにするか、1人が7つを持ちあわせて使い分けるか。ある1人が、ほか全ての特徴を手に入れるという点では同じでも、その方法が全く違っている。確かに、他のドールズが前者であるなか、ただ一体だけ後者の目的を持つ雪華綺晶は、水銀燈からすれば”壊れている”のであるが、それだけの意味ではないだろう。水銀燈にとって、雪華綺晶は、めぐというかけがえのない存在を奪った張本人なのだ。その怒りを込めて、この言葉を放ったのだ。敵とはいえ、同じ人形として、あくまで同じ地平に立って戦おうとする宿敵たる真紅には、嘲り貶すときに”ジャンク”という言葉を使うのに対し、雪華綺晶にはもっと直接的に「壊れている」と言い放ったのは、そこに込められた敵意を表しているような気がする。
ともあれ、凄まじい戦いが繰り広げられる中、遂に水銀燈自身の口から、真紅との共闘が宣言された。天邪鬼な答えを持って肯定を示すのではなく、直接的に、共闘を宣言したのである。宿敵と手を組んでまで倒すべきは、怨敵ということだろう。
そんな中、遅れてやってきたヒロイン、翠星石が到着。真紅と水銀燈の攻撃から雪華綺晶を守る彼女は、雪華綺晶のボディが蒼星石のものであることを明かす。
というところで、次回に続く。

絵本は、三体目の人形を使って、憧れのスターに出会う場面が描かれた。恐らく、この調子で、女の子が好き勝手な願いを叶えていくのだろう。
その過程で、あるいは、その果てに何が見えるのか。全ては、七体目の人形が開かれる時に明らかになるのだろうか。

エーテルやアストラルという、物理学の用語らしい言葉が随所で使われているが、これは物理学というより、錬金術を意識しているのではないかと思う。
思えば、ローザミスティカなんていかにも賢者の石であるし、ローゼンメイデンという”作られた命”は、ホムンクルスに通じるものあがある。
残念ながら、ローザミスティカの正体は、未だ原作でも明らかになってはおらず、原作の最後で語られるのかもしれないし、永遠に謎のままなのかもしれない。

さてさて、今回は、二体のドールが本格参戦した。
と言っても、雪華綺晶は以前から名前だけでなく姿も出ていたので、視聴者としては決して新たな登場人物というわけではない。表舞台に姿を表したというだけだ。
一方、翠星石の方は、一話以来の登場となる。かつてはツンデレオブザイヤーまで取った超人気キャラで、一時はツンデレの代名詞とまで言われた伝説のキャラクターであるが、流石に大学生のジュンにまでチビ人間呼ばわりはできないらしい。早速ツンな部分を垣間見せてくれた彼女であるが、まずは妹を助けるお姉さんとしての活躍が先である。どこまでも妹思いで、蒼星石を守るため、独自の立場で闘いに介入した彼女は、次回以降どのような動きを見せるのか?要注目である。
ところで、雪華綺晶は他の姉妹たちを、そのドールの色に薔薇を付けて呼ぶのに対し、翠星石にだけは翠のお姉さまと呼んでいた。青い薔薇も作られた現代であるが、実は、緑色の薔薇だけは、何をどうしても作れないことが立証されてしまっているらしい。蒼と翠というのは、科学によって作られた色と、科学によって否定された色でもある。そう考えると、この双子はなんとも皮肉な存在に思えてくる。蒼のほうが否定的で、翠のほうが肯定的な性格をしているのだから、なおさらである。

今回は、冒頭に金糸雀が出てきて、みっちゃんから教わったパソコンのトラブルシューティングを披露してくれたが、見事に空振りであった。
この子だけは、どんな状況でもズッコケていて、見るものを和ませてくれる。まさに清涼剤というところであるが、この後でちゃんと格好良く活躍することになるので、その点も期待しよう。

提供バックは、uki先生の描いた双子。
アオハルの表紙や、つり球のキャラクターデザイン、センコロールの制作でおなじみの方である。
まさか、先生の描いた蒼星石が見られるとは思わなかった。
双子でそれぞれ違う目でウインクをして、おそろいの緑色の目線をくれる、なんともチャーミングなイラストだった。
提供バックとともに気になるのは、次回予告。ついに殴られてしまった店長だが、果たしてこの後店長はどんな目に会うのか。前々回で少し雰囲気が重くなりかけたが、ふたたびこういう雰囲気にもどって安心であるものの、店長の行く末を考えると不安である(笑)


ここから私事であるが、本日、かつて通っていた高校の校長の葬儀に参加した。
85歳という年齡で、最期は家族や教職員に囲まれながら眠るように逝ったということであるから、大往生である。
先生の人徳を表すような、多くの方が参列する、とても立派な葬儀であった。
その中で、かつての恩師と久しぶりに再会し、様々な話をした。
葬儀というものは、故人との別れの儀式であると同時に、その人との繋がりを再び呼び起こす儀式でもあるらしい。
先生が居られなければ、今の私は無かったと思う。せっかくなので、先日の院試の合格を報告しつつ、これまでのことを感謝するとともに、ご冥福をお祈りした。


 
今日の絵は翠星石。
なかなかかわいく描けたと思う。

2013年9月1日日曜日

ローゼンメイデン 第八話

さてさて、第八話である。

謎のメールにそそのかされて、「自分だけのドール」を作り始めたジュンは、皮肉にも、それがキッカケでいろいろなことにやる気が出てくるようになり、実生活が充実し始めた。
斉藤さんも、ジュンにいろいろと構うようになる一方、やはり夜になると、人形が気になってしまうジュン。ついつい斉藤さんに悪態をついてしまうも、それすら受け入れて、逆にジュンを良い人と言うのだから、斉藤さんはすごい。こんな子が近くにいるジュンは幸せものである。人形なんてなくていいじゃん!

一方で、消滅の日が近づく真紅は気が気でない。そして、その時を楽しみにしている水銀燈。水銀燈の言葉は、決してただの憎まれ口などではない。BIRZでやっていたころ、水銀燈は本気で真紅を殺そうとしていたのだ。めぐ関連のエピソードが語られるまでは、水銀燈は雪華綺晶に匹敵するような、怪しく恐ろしい敵であった。
そんな水銀燈は、ジュンが作っているドールを見て、ある発見をする。その発見がもたらすものが何かはまだ分からないが、彼女にとって大切なのは、あくまでつくりかけのボディそのもの。
ジュンも参加した劇団の公演についていった真紅と、それを尾行した水銀燈。互いに、まだ明かされない思惑をひめつつ、一方は正々堂々と立ち回り、一方は暗躍する。
自分自身が小道具として舞台に立つ真紅と、ジュンが作ったボディを持ち出した水銀燈。ともに、狙いは雪華綺晶をおびき出すこと。まさに、舞台は整った……というところで次回に続く。
物語も、佳境に入ってきた。

さて、今回は、斉藤さんの練習のシーンがすごかった。いきなり普段と違う声色で話しだすものだから、驚いた。それでも、飽くまで「斉藤さんが普段と違う声を出している」という感じに仕上がっていたのが印象的だ。斉藤さんも、頑張っているんだなぁ。

あと、今回出てきた作りかけのボディを見て思ったが、ローゼンメイデンというのは、見た目の通りの年齡の女児をモチーフにした人形ではなく、少女をデフォルメして作られた人形のようだ。服がフリフリなので等身が低く見え、幼い印象を与えてしまうが、ボディそのものは決していたずらに寸胴だったりしていない。こういうところも、今回のアニメにおいてドールズがより「人形らしく」描かれているという部分なのだろうか。

そういえば、真紅が人形役に名乗り出るとき、「お困りのようね」なんて普通に声を出していたが、あんなことしたら、普通は劇団員の人が驚くと思う。軽い恐怖体験だ(笑)


と、少し簡易的ではあるが、今回の感想を終える。
今回は、絵は描けなかった。
毎週月曜日に更新するはずが、どうして土曜日になったのかというと、月曜日は院試を受けていたからに他ならない。絵をかけなかったのも、そのためだ。
日曜から今日まで、一週間ほど東京にいたわけであるから、実は第九話もすでに見ている。
データ放送なんかもやってみたが、全話見ると白バラが揃って、左側の絵(オフィシャルサイトのキービジュアルと同じもの?)が完成する仕組みのようだ。
絵については、また後ほど描いてアップしようと思う。

さてさて、院試の方はというと、残念ながら、全くと言っていいほど振るわなかった。
明らかな勉強不足だ。
逃げの気持ちがあった。迷いもあった。そもそもが、自分に言い訳をしているだけで、目的は学歴ロンダリングにすぎないのだ。
今日のローゼンメイデンで、「自分が好きでもないことで努力できる人間は大したものだ」というセリフがあった。斎藤さんの兄貴のセリフだ。
原作でも出てきたはずだが、記憶にはとどまっていない。それくらい、かつては印象に残らないセリフだったのだろうが、今日は自分に突き刺さった。これ以上ないほど的確に、今の己を非難された気がした。
自分は、恐らく現状から逃げることはできない。逃げるための努力すら怠ったのだから。
だから、自分が好きなことではなくとも、一所懸命に努力してみようと思う。
変わる変わる、と言い聞かせて、ついに変わることが出来なかった自分であるが、こんどこそは変わろうと思う。そのために、院試を終えた今こそ、新たな努力を始めるのだ。


東京からの帰路の中、母校の校長が亡くなったという知らせを受けた。
あまり会う機会は多くなかったが、高齢でも、毎週朝礼に車椅子で来てお話をされていた。
自分の恩師も、この方を尊敬すると言っていた。自分が知っているのは、老境に入り、ほとんど隠居されたような姿だけであるが、自分の知らない過去においては、すごいことをした(としか、表現できない……)方なのだろうと思う。
なにはともあれ、母校の校長先生であるから、通夜と葬儀くらいは参加させていただこうと思う。
明日と明後日、喪服を来て、出ていこう。

2013年8月20日火曜日

ローゼンメイデン 第七話

早いもので、ついに姉妹の数と同じ話数になったローゼンメイデン新アニメ。

前回は店長の名台詞にガツン!とやられたジュンの元に謎のメールが届いたところで終わったが、今回は遂に、真紅に止められていた人形作りを始めてしまう。
ジュンの中では、斉藤さんはかなり美化されているので、店長の言葉はひどく不愉快なものだった。自分を全否定するような言葉(それも、反論できないような正論)とともに彼女まで汚されたのだから、そりゃ相当な怒りがわくというものである。
そして、この言葉をキッカケに、ジュンの思考は暗いところへ、暗いところへと傾いていく。
できる奴とできない奴は最初から決まっている。努力してもダメな奴はダメ。そして、そういうダメな奴こそが、最悪の存在である。こういう思考は、努力というものを知らない怠惰な人間か、何かを得るためではなく失ったものを挽回するための努力をした人間がたどり着く。前者は、そもそも努力をしないのだから、成功を勝ち取ることはない。後者は、努力が実ったところでマイナスがゼロに戻るだけであって、何かを得る実感は無く、より良い場所へ行こうとすれば、死に物狂いの努力の上にさらなる努力が必要となる現実が立ちはだかる。前者は店長であり、後者はジュン。どちらも、実は似たような考え方を持っているのだと私は思う。だからこそ、店長の言葉はジュンに突き刺さったし、そして、ジュン以上に我々に突き刺さるのだと思う。
自分の考えを語るのはこの辺りにしよう。
とにかく、ジュンは自分だけの人形を作り始めた。果たして、この人形は物語を如何に動かしていくのだろうか。

水銀燈を気遣ってカバンで寝させてやる真紅と、それを「おぞましい」と身震いする水銀燈。戦えばお互いを本気で殺す気で掛かっていくが、戦い意外の中ではこんなふうに気遣いもする。しかし、それはライバル故の友情などではないらしい。なんとも不思議な関係性であるが、これもまた彼女たちの絆なのだろう。
今回は、ミーディアムが居なければ戦えないことや、カバンで寝なければ『ヤバイ』ことが語られた。この設定は、アニメでは初出だと思う。

あと、今まで要所要所で入ってきた妙な絵本が本編で登場。まあ、絵本自体はすでに店に並んでいるのをジュンが手にしているわけだが、その内容をジュンや真紅が確認したのは今回が最初だ。
二人で本を読みながら、真紅はジュンに、文字に書き残すということの意味を問う。確かに、『忘れないように』というのは、悠久の時を生き、全ての記憶を夢のなかで巡らせる真紅たちにはありえない発想かも知れない。
しかし、今回の真紅はやがて消えてしまう身。文字ではなく、自分がそこに居るという感覚を、記憶の中に留めてほしいと言う真紅。その思いは、きっとジュンにも届いているのだが、しかしジュンは新たな人形を作り始めてしまう。自分だけの人形を欲したのである。
大人は、誰かの心を汲み取れる代わりに、それに感化されたり、シンパシーを感じることは子供の時ほど容易でない。また、何かに共感したとしても、簡単に心を入れ替えることはできないのである。
ただ、絵本の内容は、まだ1つ目の人形の願いが叶えられたところ。全部で人形は七体、薔薇乙女と同じ数といういかにも意味ありげな設定なのだから、今後も絵本はストーリーに登場するのだろう。

そして、まいた世界のジュンも遂に登場。みっちゃんも出てきたが、なんとも凄まじいオフィスで仕事をしていて笑った。
まいた世界のジュンは、まかなかった世界のジュンへメールなど出していないし、パーツも送っていない。ここで、今作り出されている人形は罠であることが判明するが、時既に遅しである。
果たして、まいたジュンに出来ることなどあるのか?というところで、遂に金糸雀が登場して今回は終了。
金糸雀は、姿形は小さくとも第二ドール。水銀燈の次のお姉さんなわけで、何気に強力な能力を持ったドールであるが、そういうことが語られるのはまだまだ後の話。今回は、とりあえずズッコケてポジションを示したところで終了。策士の今後の活躍に期待である。


ところで、ネットにて、「原作未読の視聴者は、店長がストーリーの清涼剤となるのを期待しているのではないか」という意見を見た。
確かに、アニメでは原作より重めの雰囲気を醸し出すような演出が多いし、さっきまでバカをやっていたキャラクターが急に真剣になったりして、明るくて面白い雰囲気を貫く者が居ない。
そんな中では、ウザいけど憎めない店長は、雰囲気を緩和するのに一役買いそうにも見える。前回のような発言をするキャラには見えないかもしれない。
しかし、今回ついに真の清涼剤たる金糸雀が現れた!そういう意味でも、彼女の活躍に期待したい。

エンドカードは横槍メンゴ先生。可愛らしい翠星石のイラストであった。
横槍メンゴ先生といえば、ミラクルジャンプで東大がどうのみたいな漫画を描いておられる。
来週東大を受検する身としては、微妙なシンパシーを感じた(笑)


 

今回は金糸雀。
前回の予告で登場したので、せっかくだから描いてみたのだが、まさかラストギリギリで登場するとは思わなかった。
来週は東大受験ということもあり、ローゼンメイデン一の策士である金糸雀を描いて験担ぎ、という意味合いもあったりする。

備忘録として書いているこのブログであるが、来週は土曜日に更新する。
来週の院試、必ず合格しよう。
今日は、自大の院試に受かったし、良い風は吹いていると思うのだ。

2013年8月13日火曜日

ローゼンメイデン 第六話

第六話。もし1クールなら、ついに半分だ。
あと半分あれば、まかなかった世界での話は終われる気がするし、やっぱり1クールかもしれない。

今回は、とにかく真紅と水銀燈の喧嘩が面白かった。
最初は格好良く挑発してみたり、過去の因縁を持ちだしてみたりとなんともスマートな舌戦が始まる空気ができているのだが、それは本当に最初だけ。
すぐに頭に血が上り、取っ組み合いのケンカを始めてしまう。
この二人の関係性がよく現れていて、なんとも微笑ましいシーンである。
前回怒られたこともあり、律儀に能力を使わずにいるあたりが可愛すぎる。たしかに、こんなドールと一緒に暮らしていれば、その生活が終わることに対して恐怖を抱くかもしれない。ジュンの気持ちもわかるというものだ。

そのジュンはといえば、劇団の方に行って、斉藤さんの兄貴の手伝いをする中、ついに「桜田くん」から「ジュンくん」にランクアップ。俄然やる気も湧こうというものであるが、そこで邪魔するのが店長である。
いろいろなサイトで画像が張られるあのシーンに、ついに声がついた。これを見ていると、店長の声もなんともハマっていて良いと思った。
全てのクズ達に、多かれ少なかれ突き刺さるところのあるお説教なわけだが、かく言う店長も、どちらかというと確実にクズ寄りの人物であるところが面白い。クズにクズと言われいるというのに、反論できないのだ。こんなシーンが入っているから、ローゼンメイデンという作品は油断ならない。というか、PEACH-PIT作品は、どれも華麗な世界の中に、こういう現実と向き合わせるような鋭い言葉を放り込んでくるから恐ろしいのである。
とは言うものの、自分の場合は成功体験がひとつもなくて、傲慢になろうにも拠り所がないようなクズであるから、実は店長の言葉はあまり突き刺さらないのだ。ところが、そんな人物には後々になってめぐ様がありがたいお言葉を下さるわけである。隙がない!

その後は、傷ついたジュンが「真紅達がいなくなる」という現実に直面し、そこを巧みに突いたメールの文章に従ってしまう所で次回に続く。

この他のシーンとしては、雛苺のことが語られたのが印象的であった。第一話の中では、余りにも短すぎて、雛苺はただのわがままなドールであり、勝手な行動をとった結果倒されてしまった自業自得な末路に見えてしまうのが少し残念である。手紙の話だったり、その他、桜田家での日々が語られてこそ、その後の結末と、彼女の気高さがわかろうというものである。が、そんなことをアニメn中で全て語るのは不可能であるから、真紅の口から雛苺のことを語らせたのであろうか。

あと、真紅と水銀燈の服の構造も明らかになるわけだが、やはりローゼンメイデンの服は凄まじいものである。
蒼星石のケープの上にかかる白いものが何かずっと疑問に思っていたのだが、それがブラウスの襟であると知ったときは衝撃だった……ということを思い出した。
しかし、タオルにくるまっている二人も可愛らしいが、服を干すときに互いに協力しあって作業したのだろうと思うと、その光景が余りにも可愛すぎる。

提供バックのイラストは、石田スイ先生の雪華綺晶。
東京喰種を連載している漫画家の先生であるが、その妖艶なタッチが雪華綺晶を見事に描き出していた。ヤンジャンで連載している先生たちが描くドールズ、これからも続くなら、楽しみである。

今回の落描きは水銀燈。実は、記憶を頼りに描いているので、変なところに薔薇が増えていたりする。
なかなか上手く描けたと思う。

しかし、4時15分スタートというのは凄まじすぎる。
もはや早朝アニメじゃないか……

2013年8月10日土曜日

誕生日

今日は、誕生日ということで、蒼星石を描いた。
誕生日とか、年明けとか、そういう特別な日には蒼星石を描くようにしているのだ。
今年の誕生日は、東大の院試まであと2週間ということで、素直に祝えるものでもない。
なので、蒼星石もこんな感じでファイトしている。


心のなかの蒼星石といっしょに、頑張ろうと思う。



2013年8月6日火曜日

ローゼンメイデン 第五話

ローゼンメイデン第五話、ついに水銀燈が再登場である。
以前のアニメとは違い、ちゃんとお腹がある水銀燈であるが、肌色が若干旧作より健康な感じの色になっている。原作よりも、気持ち明るめの色な気がする。
旧アニメ第二期では、水銀燈ファン向けのイベントまで開かれて、大々的に復活がネタバレされた伝説のアニメキャラ。このキャラクターの声は、やはり田中理恵さんしかありえないだろう。めぐもきちんと河原木さんが声を当てていて、声は全て旧作準拠なところがありがたい。

さて、水銀燈が登場したわけであるが、回想にかなりの時間を割いていたのが印象的であった。もちろん、ある程度はめぐのことに触れていないと今後の展開というか水銀燈というキャラクターがわかりづらくなるというのもあるが、それにしても、丁寧に描かれていた。教会が取り壊されてカバンを引き摺りながらよろよろと歩く姿などは、同人誌で描かれる水銀燈がヨゴレ担当の苦労人キャラになるキッカケの一つとも言えるだろう。めぐとのエピソードが描かれる前は、非常に狡猾で格好いい女王様タイプのキャラクターかと思われていた水銀燈の印象が180度変わったのだからすごい。まあ、雪華綺晶というマジモンのサイコな悪役が現れてしまったのも大きな要因ではあろうと思うが。話がそれたが、何れにしても、こうして旧作の範囲の回想が描かれるというのは、とても印象が良い。

話の本筋としては、本当に水銀燈が出てきただけなのだが、ここからまた話は動き出すわけである。漸く、役者がそろったわけである。もちろん、このあとクライマックスに差し掛かってから、たくさんの追加キャストが次々に現れるのであるが、それはこれからの話だ。
とりあえず、今回も真紅と人間世界の対比が色々と描かれていたわけであるが、やはり人形が人間の道具を使うと、小ささがより強調されて可愛らしさがアップする。ほうきにしても、新聞にしても、真紅の可愛さがどんどん上がっていく。
そして、真紅と水銀燈の因縁もちょっとだけ語られたわけだが、アパートの一室でゴスロリ少女が戦う姿を想像すると、なんともシュールな光景だ。水銀燈がエスケープしている間に、律儀にほうきで掃除をしている真紅もまた可笑しかった。日常が語られているうちは、こんなシーンがたくさん出てくるので癒される。
ジュンの方も斉藤さんに舞台に誘われ、タイムリミットも示され(これは前回で出てきているが)たところで次回に続く。

提供バックは水銀燈。今回は、やはり彼女しかあるまい。
しかし、次回は4時15分からスタート。世界陸上の都合であるが、どうせなら一周遅らせてしまえば良い気がする。もはや深夜アニメではなく早朝アニメになってしまう気がするが、そんなことは気にせず、次回も楽しみにしたい。

ところで、今日は自分の大学の院試の筆記試験が終わった。正直、不本意な出来であったが、実は本命は今月末にある東大の院試である。先生から聞いた話をもとに考えれば、恐らく自大は大丈夫だと思うので、今回の試験は忘れて、東大に向けて残りの期間を有意義に過ごしたい。
あと五時間後には、面接の集合時間となる。最後まで気を抜かずに行こうと思う。


 
 
今回の絵は水銀燈である。アニメを見て気づいたが、もっと手を長く描くべきであった。ただ、院試が終わって帰ってきてすぐに描いたものなので、今回はこんなものだろう。いつか、水銀燈も描き直してみようと思う。

2013年7月30日火曜日

ローゼンメイデン 第四話

早いもので、もう四話目となった。
今回は、目覚めた真紅が現実世界でいろいろとやる話がアニメ化された。
真紅の話し方は旧アニメ準拠かと思ったが、要所要所で「だわ」が出てきたのが好印象だ。沢城みゆきさんの声で「だわ」が聞ける日が来るとは思わなかった。
一日留守番して、アパートの中を見て回る真紅。小さいやつが、人間大の生活空間に居ると、小ささがより強調されてとてもかわいく見える。真紅などは、格好がフリフリの服なものだから、異物感が余計に強調され、なんとも愛らしい。ローゼンメイデンの魅力の一つだ。
人間の生きる世界は、ローゼンメイデンたちには大きすぎるわけだが、今回は留守番中に電気がつけられない等の、小さいがゆえの難点も出てきた。漫画で読んでる時には気づかなかったことだが、BIRZで連載していたときは、常に家の中にジュンがいたので、こんなシチュエーションはありえなかったわけである。
しかし、やはり今日一番輝いていたのは、ジュンの靴を履こうとする真紅であろう。あれは可愛い。あんな人形が欲しい、と思わせるような、すごく愛らしい姿であった。リュックに入れて買い物に連れて行ったりというようなシーンもすごく可愛かった。猫との因縁は、果たしてこちらのアニメでは明かされる日が来るのであろうか?
斉藤さんも登場し、今回も女子力を魅せつけてくれた。単車で駆けて行く姿もなんと麗しいことか。ジュンが斉藤さんの舞台で使う衣装の素材を見繕い、その才能の片鱗を発揮すると同時に、表情も少しずつ明るくなり始めた。ローゼンメイデンが来て、ジュンもまた変わっていくわけだが、実は、これは決して真紅が彼を変えたのではない。寧ろ、ジュンは自分自身が変わろうとしたからこそ、真紅を完成させることができたのである。そう考えれば、ジュンが変わるキッカケとなった斉藤さんは、やはり偉大な人だと思う。
最後に雪華綺晶が現れ、今後の戦いを予感させた所で今回は終了。しかし、雪華綺晶との戦いの前に、まだまだいろいろあるのだ。次回はそのいろいろの一つとして、水銀燈が現れる。旧アニメでも、BIRZ時代の原作でも見せることが無かった姿を見せてくれる水銀燈だが、ついにあのシーンやこのシーンがアニメになるのかと思うと興奮が冷めない。
エンドカードは水銀燈と金糸雀。最初の二体は、金と銀で、鳥モチーフだ。次の二体は双子で宝石モチーフ。ローゼンメイデンは、作られた時期がかなり開いているものもあると説明されていたが、ここまでの四体は割りと近い間隔で作られているだろう。そして、名前に色が入らなくなった雛苺と雪華綺晶は、間を空けて作られた二体と思われる。そうなると、真紅は、名前に色を入れた一つのシリーズの終着であり、対となるモチーフを持ったドールが存在しないシリーズの起点とも言える、非常に特別なドールなのかも知れない。

今日は、自分の大学の院試まで、残り一週間という日だ。この時点で、残り一週間を切っている。
水銀燈の復活を目の当たりにするのは、院試が終わった日の夜である。
明るい気分で、彼女の復活に立ち会えるよう、残り少ない日々を頑張りたいと思う。



 
今回は、雪華綺晶を描いた。前回が手抜き気味になったので、今回は少し頑張って描いてみたのだが、今回ちょうどアニメで出てきた雪華綺晶をみてみると、前髪がかなり違っていた。記憶だけに頼るのはよくないようだ。
あと、せっかく第4話ということで、前回のリベンジを兼ねて蒼星石を描くのもアリだったかもしれない。まあ、今回はよく描けたと思うので、良かったとしよう。

2013年7月23日火曜日

ローゼンメイデン 第三話

今回は、真紅が目覚めるところまでがアニメ化された。
また、ジュンの過去、梅岡先生の失態もアニメで語られた。あのシーンは、この物語を観る上では欠かすことのできない部分だと思うので、アニメにはなると思っていた。旧アニメがやっていた頃は、あのシーンのおかげで、梅岡先生が蛇蝎のごとく嫌われて、ヤングジャンプ版の店長みたいな扱いをファンから受けていたのを思い出す。
大量の足と頭の中から真紅のそれを見つけ出すシーンに、次元を超えたジュンと真紅の絆を感じたものであるが、原作でのこの後の展開を考えると、ジュンはいろいろなドールと絆を繋げているスケコマシのように思えてくるから不思議である。
ここからバトル漫画的要素がだんだんと増えて、少しずつ戦いがメインのストーリーにシフトしていくわけであるが、三話でここまでとなると、ひょっとして2クールだったりするのだろうか。1クールだと、どうも中途半端なところで終わってしまいそうな気がするのだ。
今後はジュンの鬱鬱とした現実だけでなく、可愛らしいローゼンメイデン達の生活や、斉藤さんとの明るい絡み、迫力のあるバトルの映像等も増えてくるだろうから、楽しみだ。

ところで、今日、小説のツヴァイリンゲを購入した。読む用と保存用で二冊。結局どちらも保存するのであるが、どうしても二冊買いたかったのだ。
同時発売の9巻の方は、発売日に買った。表紙は水銀燈であったわけだが、今回の提供バックイラストも水銀燈。真紅の腕を持った怪しげな姿が描かれていたが、雪華綺晶が登場してから、どうも水銀燈は脅威という感じがしなくなって、ヤンジャンでは完全にその感覚が消えてしまった愛されキャラになってしまった。旧アニメの頃に同人で描かれていたキャラに近いかもしれない。
もうすぐ水銀燈も登場するはずなので、楽しみである。

今日は、翠星石と蒼星石を描いた。ツヴァイリンゲを購入したということで描いたのだが、実は今日が放送日ということも忘れていたし、絵を描くのも忘れていた。慌てて描いたので購入の購の字が間違っているのだが、敢えてこのまま置いておく。絵自体も、デフォルメと普通の中間みたいな、なんとも気持ち悪い感じになってしまった。双子に悪いので、院試が終わったら、時間をかけてこのふたりを描き直してみたいと思う。
 
 
 
 
 
 

2013年7月16日火曜日

ローゼンメイデン 第二話

今日、ローゼンメイデンの第二話がMBSで放送された。
今回は、ヤングジャンプ連載版に入り、ジュンが置かれている現状や、雪華綺晶の脅威が説明されるところまでであった。このペースだと、大学生編までがアニメ化するようだ。
それにしても、アニメで改めてこの話を見て、ジュンも斉藤さんも、そして店長さえもが、とてもシビアな現実の中で生きていることに驚いた。大検を取って三流大に進んだジュン、大学には進まず夢を追う斉藤さん、そして、これまた大学には進まず、街の本屋さんを経営する店長。今の御時世、ある程度以下のレベルの大学では卒業しても就職が難しいことはよく知られたことだし、ましてや大検となると条件も悪くなるというものだろう。役者という夢を叶えることが、どれほど難しいことか、想像に難くない。大型書店に圧倒されて潰れていく街の本屋さんたちに哀愁をおぼえることも少なくない世の中になった。誰もが、とても不安定な中に生きている。そこには、ローゼンメイデンの人形たちが織りなす、耽美的な世界観とは程遠い、余りにも巨大で強固な現実が聳えている。
ローゼンメイデンという作品は、一見すると可愛い人形たちが織りなす耽美的で退廃的な世界を描いているようにみえるのだが、その実、人形を取り巻く人々はその絶対的な現実を我々読者へと訴えかけている。

私事になって申し訳ないのだが、ローゼンメイデンがヤングジャンプで連載され始めたとき、つまり2008年の4月という時に、私は絶望の中に居た。勉強しかしないような高校時代を送ってきたのに、大学に全て落ちてしまい、失意の中で浪人生活をスタートしたところだった。ただ、そんななかでも、ローゼンメイデンが始まったことで、少しだけ勇気が出てきたような気がして、またがんばろうと思えたのだ。
結局、大学に受かるまでに、二年かかってしまった。高校時代のように頑張ることが、むしろ失敗に繋がる気がして、何も出来ず、動き出せなかったのだ。それでも、私は戦うしか無かった。そして、決して勝利とは言えないまでも、少なくとも命だけは拾ったような結末、大学への合格がかなった。
そう、私は二浪している。ある程度名前の通った大学には進んだが、殆どジュンと似た状況、ヘタすれば彼よりもかなり不味い状況にあると言える。それでも私が頑張ってこれたのは、ジュンの元に届いたのが蒼星石であったからだ。私が一番好きなドールが、彼のもとに届いたからだ。
なぜPEACH-PIT先生が、ジュンの元へ蒼星石を届けたのかはわからない。いや、それは物語的に都合が良いからにほかならないのだが、しかし、そういう風に物語が進んでいったことには、なにか意味がある気がする。決して社会的に成功していない彼に、大学進学というタイミングでミスをした彼のもとに蒼星石が訪れたというこの展開に、私はとても勇気づけられたのだ。

さて、話は脱線したが、今日のローゼンメイデンは、これからの展開を予感させるお話であったと思う。原作未読の方は、前回の怒涛の展開に対して余りにも動きのない話に驚いているかもしれない。
そして、忘れてはならないのが、提供バックが蒼星石であったという点。主役のジュンでも、今回初登場の斉藤さんでも、この作品の顔とも言うべき真紅でも、一番人気の水銀燈でもない。今回は一切登場していない、蒼星石。ここで彼女の絵を持ってくることを許可したスタッフの方から、ローゼンメイデンという作品への愛を感じた。本当に有難うございます!




今回は、初登場の斉藤さんを描いた。
こんな女子力を魅せつけられては、ジュンなどひとたまりもないだろう。
ところで、この斉藤さん、PEACH-PIT先生が描かれるキャラの中では、かなり頭がデカイのが特徴だと思うが、いかがだろうか?これが、設定年齢の割に幼さが残って可愛らしく見える秘密だと思うのだ。
しかし、絵を描く以上は、もっと人体を描く練習なんかもしないと……人間を描くと、やはりドールを描く時よりも、違和感が顕著になってしまう。

2013年7月9日火曜日

ローゼンメイデン 第一話

今日、ローゼンメイデンの第一話がMBSで放送された。
いろいろと順序が入れ替わった部分もあるが、原作のBIRZ版をダイジェストでまとめながらキャラクター紹介をしていった内容。次回から大学生編、つまり、ヤングジャンプで連載された部分、このアニメの本編とも言うべき部分に入るので、そのための導入といったところだろう。
絵柄が原作向けになっただけでなく、キャラ付けなんかも原作と同じになったことで、旧アニメとはやはりかなり違った印象を受ける。声優さんたちは全て同じなのに、人物たちは皆少しずつ違った印象になっていたのだから、やはり声の演技というものはすごいと思った。
前アニメからの変更といえば、あとはnのフィールドの演出だろう。前は、それぞれのドールが、各々のキャラに合わせた独自の世界を展開していたが、今回は、外の世界と同じ風景の中、空に謎の螺旋が浮かんでいた。原作通りであるが、映像化するととても迫力のあるものになっていた。
あと、蒼星石が紅茶から出てきたところは、格好いいはずなのだが少しシュールだった。こういうところが、この子の可愛いところなのだ。
あと、金糸雀の動きなんかも可愛かった。「もらっちゃった、もらっちゃった」は待望の音声化だが、声がつくと、かなりウザい感じになっていた。これは、真紅達も怒るだろう。
次回からも楽しみだ。

ローゼンメイデンの放送にあわせ、絵を毎週描くことにした。
今回は、真紅だ。やはり、主役といえばこのドールだろう。