2013年9月24日火曜日

ローゼンメイデン 第十二話

第十二話。ここで終わるアニメも多いが、ローゼンメイデンはきっちり一クール分、十三話放送する。今期のアニメは、全十三話のものが多い気がするが、ちょっとだけ珍しいことかもしれない。

冒頭、雛苺が出てきた。
真紅のボディを守っていた雛苺。今期のアニメでは、どうしても出番が少なくなってしまうが、こうして回想シーンをはさみながらちゃんと出番が用意されているところに好感がもてる。
雛苺の、『眠り』に対するひとつのトラウマ。明るく、天真爛漫な彼女でも、永らく生きてきたドールであり、そして、永らく死んでいた存在でもある。自分のマスターである巴にワガママを言ったりするのは、幼さだけのせいではないのだ。
健気にも真紅のボディを守り続けていたその姿に、雛苺の堅い意思と、優しさが見て取れると思う。幼子ではあっても、誰かに依存するだけの存在ではない、そんな雛苺である。
今回のアニメの雛苺は、前回に比べると、かなり女の子らしく描かれていると思う。絵柄の問題といえばそれまでかもしれないが、より繊細というか、華奢な感じが強調されているようである。尤も、前回のアニメでは、タックルをしかけたりと、意外にも武闘派の戦いかたをするようなドールだったので、こんなに弱々しくては駄目なのだろうが。どちらにしても、雛苺というキャラクターの主な役割は真紅の妹分であり、旧アニメでは真紅に従って戦う姿で、今回のアニメでは真紅を守る姿でその役割を果たしているわけである。
あと、雛苺の声優さんは野川さくらさんだが、この人の声は本当に久しぶりに聞いた。前のアニメでも、すでに雛苺という役を完璧に演じて、キャストの中で一番役にハマっているのはこの方だと思ってたが、今回はさらに演技力が上がっていて、声優さんはすごいものだなぁ、などと感心した。

一方、ドール達は、せっかく雪華綺晶を倒したというのに、絶望の中に居た。時折挟まれる、『私達は、絶望するために生まれてきた』というモノローグが、雰囲気をより一層引き立たせる。
水銀燈にローザミスティカを差し出そうとする蒼星石。それを止めようとして泣く翠星石。崩れ落ちた真紅と、それを見て震えるジュン。せっかく迷いを断ち切ってここまで来たのに、守りたいものを守れなかったのだから、それは泣きたくもなるという話だろう。しかし、ここに登場するのが、希望の象徴、我らが金糸雀とまいたジュンである。
けっこうな高さから落ち、頭をしこたま打ち付ける金糸雀。もはや誰もツッコミを入れず、金糸雀自身も特に何も言わず話を続けるのが面白かった。最後までペースを崩さないところが流石である。
安西先生よろしく、「あきらめたらそれで終わり」と叫びながら真紅のボディを持ってきたジュン。
ボディに首を装着するのは、もう一つの真紅のボディを組み立てた、まかなかったジュン。しかし、彼は飽くまで、真紅の仮の姿を製作した人間であって、真紅の仮しもべでしかない。ネジをまくのは、真紅のマスターたるまいたジュンの役目。まいた世界とまかなかった世界、ふたつをつなぐのは、侵略者である雪華綺晶でも、まかなかったジュンの人形である蒼星石でも、自らの力で渡り来た水銀燈でも、両者の窓口となった金糸雀でもない。ふたりのジュンの手で作り上げられた、真紅なのである。そして、真紅を目覚めさせるときに防御を忘れるジュンたち。みんな、どれだけ変わっても、こういうところはペースを崩さない。

真紅を守る雛苺の話を聞き、狼狽する水銀燈。蒼星石自身が負けを認めたところで、それは絶対に本心になどであるはずがない。真にローザミスティカを手に入れるには、相手を叩きのめすのでも、蒼星石がいうところの『契約』を結ぶのでもない。もっと他の何かが必要になるのだ。しかし、それを知ってもまだ水銀燈は、「正攻法では勝てない」と考える。アリス・ゲームは、少なくとも水銀燈の中では、まだまだ只の潰し合いであり、その必勝法を探そうとしているのだ。
水銀燈は、一足先にもとの世界へ戻ろうとする。思い出すのは、めぐとの記憶。めぐの話はなんとも妖しいものばかりで、いかにも厨二病的。我々視聴者には、とうてい理解できるものではないし、それはどうやらめぐの周りの大人達も同じらしいが、それでも水銀燈にとっては唯一のこころのよりどころであり、この二人の間には、二人だけの世界が広がっているのだろう。

さてさて、水銀燈が去ったところで、こんどはジュンとドールたちも元の世界へと戻らなければならない。
まいたジュンも、まかなかったジュンも、この戦いのなかで、間違いなく何かを手に入れ、成長している。主に描かれたのはまかなかったジュンであり、その集大成は、きっと次の話で描かれることになるのだろうが、今はまず、別れを済ませなければならない。
出会ったばかりの、『自分だけのドール』たる蒼星石との別れ。現実を正しく見て、自分なりに生きれるようになったジュンにとっては、寂しくて辛いことではあっても、決して恐ろしいことではなくなっている。そして、ジュンのドールとして再生し、再び翠星石と出会えた蒼星石にとっても、ジュンに作られたことは幸せなことであった。
ジュンも、真紅も、蒼星石も、それぞれの世界へ旅立っていく。まかなかったジュンにとっては、これはただの夢にすぎない。彼がこれから戦う場所は、現実であり、彼自身の人生なのだ。しかし、まいたジュンは、まだまだローゼンメイデンによる夢のような戦いを続けることになる。どちらが幸せで、どちらが不幸かなんてことは無い。それは、自分自身が決めていくことだと、きっと二人のジュンはもう気づいているのだ。
そして、ジュンは夢からさめる。隣に水銀燈は居ない。舞台上に真紅は居ない。斉藤さんのセリフの続きは、なんとも拍子抜けなコメディチックな展開。舞台は、現実の中で続いていく。
しかし、ジュンの中には、ずっとドールが居続ける。ジュン自身が作り上げ、無限の可能性を指し示したドールたる真紅。彼女が消えることは無いのだ。

今回の絵本は、六個目の人形が恋人を与えてくれた。しかし、理想的すぎて、すぐに別れる。前回とは違い、人形は願いを歪めずに叶えた。問題があったのは、女の子の方。だからこそ、おじいちゃんが死んだ時と違って、今回は教訓を得た。
すっぱいぶどう、なんて言葉もあるが、案外、樹の上のぶどうは、熟れすぎて食えたものでは無いかもしれない。過ぎたるは及ばざるが如しというように、自分にとってベストなものは、自分の身の丈にあったものなのだ。
この話は、理想を叶えた結果として雪華綺晶を生み出したジュンのことを表しているのだろう。しかし、これもたいがい悪いクセだと思うが、どうしても自分のことに重ねて考えてしまった。
あるいは、すっぱいぶどうというものもまた、現実を生きる知恵なのかもしれない。
真紅は、「女の子でも、大人になればお人形遊びを卒業していく」と言った。だからこそ、大人になったジュンは、真紅と分かれたのだ。
大人になったのに、まだありもしない夢を追って、躓き続けている自分を戒められた気がした。



今日はあまりにも多忙で、朝から家を出て、帰ったのが11時45分であった。
この絵は、絶対に12時までに描くようにしているので、のこり15分で描いて、アップしたので、今回はかなり手抜きになった。
せっかくなので、次の土曜日に、絵もあわせてもう一度更新する。

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