2013年10月1日火曜日

ローゼンメイデン 第十三話

7月から始めた、日記を兼ねたローゼンメイデンの感想も、遂に終わりを迎える。
ローゼンメイデン第十三話、最終話である。

全てを終えて、元の世界に戻ってきたジュン。
舞台は無事に終わり、キャストは衣装もそのままに、打ち上げが開かれる。
座長に絡まれたり、斉藤さんの兄貴にビールを飲まされたり、すっかり劇団の一員となった様子のジュン。彼自身が作った、己の居場所なのである。
そんな中、斉藤さんから、舞台で使った人形を返される。雪華綺晶が現れるまで、真紅が演じた人形。しかし、渡されたのは、雪華綺晶に似たアンティークドール。もとに戻ったと言っても、それは、ローゼンメイデンが現れる前の、正しい世界に戻ったということ。ジュンは、確かに真紅と別れたということだ。
真紅の夢を見ながら目覚めたジュンは、猫のティーポットを使ってお茶を沸かす。もう、もう一人の自分とメールは通じないし、淹れた紅茶を飲んでくれる、小さなご主人様も居ない。あっさりともどってしまった日常ではあるが、それでも絶望したりせず、現実を受け入れられる程度に成長したジュン。今なら、店長も適当にあしらえるだろう。
バイトの帰り道、斉藤さんと楽しく話すジュン。劇団は楽しいというジュンに、斉藤さんも嬉しそうだが、大学に行ってないジュンを心配してもくれる。こんないい娘、めったに居ないぞ!絶対に一緒になるんだ!などと思ってしまった。
斉藤さんが言うように、ジュンは自分で居場所を作っていける。やるべきことをしっかりとやるヤツだから、店長みたいなクズでない限り、ジュンを無碍に扱うようなヤツは居ないのだ。ジュンに足りなかったのは、自分も人の役にたっているという自覚。それは決して自意識過剰なわけではなく、むしろ、自分を必要以上に卑下しないためのもの。

ジュンの内面がいろいろな成長を遂げた一方、彼を取り巻く状況にも変化が現れる。本社の部長が、いつもまじめに働くジュンに注目するわけだが、自分はこのシーンを是非アニメで見たいと思っていた。このシーンは、次の店長のセリフに繋げるためのものでしか無いのかもしれないけれど、実を言うと、自分はいま正に、ある一つの戦いに敗れたところだ。そして、そのことを恩師に伝えた時に言われたのは、部長さんが言ったことであり、真紅がずっと言っていたことだった。
道は一つじゃない。やろうと思えば、どんな場所からでも、どんなところへでも行ける。一つの方法が駄目なら、別の場所で頑張るなり、別の方法でそこへ到達するなりすればいい。
そんなことを言われたのだ。
なんとなく、ローゼンメイデンの物語を思い出すセリフである。もちろん、恩師はローゼンメイデンなんて知らないので、ただの偶然なのだが、やっぱり感動してしまったのだ。
ジュンの目の前に選択肢が現れたように、自分で選択肢を作っていけば良い。そんなことを思い出させてくれる、巻かなかったジュンの物語は、これにて幕を閉じた。

が、ローゼンメイデンたちの物語は終わらない。
まかなかったジュンの物語は、ヤングジャンプ版ローゼンメイデンの第一部とでも言うべきもの。
不気味に蠢く白いイバラが映し出され、場面はまいたジュンの世界へ。

翠星石の”あたたかい”見送りと、『あたたかい』を変に強調する真紅に笑ってしまったが、その後すぐにジュンが倒れて、シリアス展開に入ってしまった。
真紅が猫を嫌っている微笑ましいシーンなども挟まれつつ、何気にのりがまともに登場したのもこれが初めてだと思う。ローゼンメイデンを見始めた頃には、のりのほうが年上で、まさにお姉さんという感じだったのに、いつの間にか自分の方がかなり上になってしまった……
ジュンが倒れたことを受け、雪華綺晶の復活を予感するドール達が集まるのだが、そこにはやはり水銀燈は居ない。流石に、あれだけ格好良く立ち去っておいて、すぐにパーティに加わっていたら拍子抜けだし、そもそも水銀燈はめぐの意識を取り戻すという彼女自身の戦いがある。今も一人で、どこかで戦っているのだろう。
そして、金糸雀は嫌な予感がすると言うが、実際にみっちゃんが襲われてしまう。みっちゃんも、ちょこちょこ姿は出ていたが、まともな登場はこれが初めてだ。それにしても、みっちゃんはみんなにみっちゃんと呼ばれ、敬称もみっちゃんさん等と呼ばれているが、すごくしっくり来る扱いだと思う。みっちゃんというキャラクターは、どこまで言ってもみっちゃんである。そういうわけで、そんなみっちゃんの活躍も見てみたかったが、そこは残念ながらカットされてしまった。

このシーンは、どうやら真紅達が元の世界に帰って少ししてからのことらしく、ジュンの方でも、またもや変化が現れた。いったいどのような選択をしたのかは描かれていないが、どうやら大学でも友達ができたらしい。ちゃんと、自分の現実を受け入れて頑張ってるのだ。偉いなぁ。
そんなジュンは、例の絵本を取り出す。最後に書かれたのは、「わすれないで」という真紅の願い。女の子が最後の人形に託した「一番大きくて大切な願い」が何なのかは分からないが、少なくとも真紅の願いは、この6文字なのだと思う。そして、絵本を朗読していた声は沢城みゆきさんだったが、あの声は多分、真紅のものだったのだろう。真紅が物語を読み、最後に物語とリンクするように、大切な願いを書き込んで、絵本に託したのだと思う。
が、その直後、ジュンのもとにテレビ電話の着信が入る。出てみると、見覚えのある胸元。まさかの蒼星石だったわけだが、クールでしっかりものな彼女が携帯を使いこなせていないのはなんとも可愛らしい。そして、蒼星石をどかして映るのは、翠星石と真紅。『わすれないで』と書き残しておきながら、直後にまた現れたのだ。
それにしても、注目すべきは、翠星石のツンデレぶり。別れる前には、わざわざ礼をいうついでに悪態まで吐きに来た翠星石だが、真紅を差し置いて真ん中で一番大きく映って手をふっているのだから調子が良いものである。
しかし、真紅以上にもっと思いがけないのは、巴との再会である。今はもう会わなくなった幼なじみの、数年前の姿となると、接し方がわからないだろう。柏葉さん、なんていう、かつては使わなかった呼称を使っていたりして、笑ってしまった。それにしても、巻かなかった世界の巴は、今どうしているのだろうか。ジュンなんて放っておいて、自分の人生を歩んでいるだろうし、ひょっとしたら、その方が巻いた世界の巴よりも幸せなのかもしれないが、なんとなく気になる。まあ、こちらのジュンには斉藤さんというお相手が居るので、もう巴と会う必要も無いし、会わないほうが良いのだろう。
そんな巴や真紅からの説明を受け、巻いた世界のジュンが大変なことになっているのを知った、巻かなかったジュン。少しばかり動揺するも、今度は自分が助けに行くことを決意する。
2つの世界を繋ぐのは、風呂場の鏡。ホーリエが世界を繋ぎ、ジュンが覗きこんだところでドアが閉まり……ラプラスの魔の一礼とともに、物語は終わる。

Aパートが物語のエピローグを描いたのに対し、Bパートはかなり端折りながら、次なる展開のプロローグを描いていた。
第一話も、前日譚のダイジェストという形で、物語の始まりに至るまでのストーリーが丸々一話を費やして描かれたが、最終回もまた、次のストーリーの始まりを描く形となった。
ラプラスの魔がお辞儀をして終わるところなど、終幕というよりは、一旦休憩に入る区切りのような印象である。
これは、この続きがアニメで描かれることを期待しても良いのだろうか?原作はまだまだあるし、可能ではある気がする。それどころか、ここからの原作の量が、明らかに1クールでは消費できないほどあるし、まだ完結しても居ないわけだから、全然余裕だろう。寧ろ、これらをどうまとめるかが心配なくらいだ。
是非とも、この続きもアニメ化して欲しい。

それにしても、Bパートはかなり端折られていた。
くんくんのベロを集める話とか、復活した蒼星石がいろいろする話とか、ぜひ見てみたい話が多かっただけに少し残念である。新たなドールとの出会いを経て更に活躍するみっちゃんの姿も、ぜひ見てみたかった。
ただ、次への繋ぎを最終回の中で描いて終わるには、どうしても雪華綺晶が暗躍し始めるところは出さないといけないだろうし、そうなると、巻かなかったジュンに連絡が入るところで終わるのが、霧が良いのだろう。ここから直接つながらなくてもいいので、こういった話も入れた上で、この続きをやってほしいと思う。切実に!



TBSで最終回が放送された日に発売のヤングジャンプで、公式ホームページで行われていたベストシスターズ投票の結果発表がなされた。
第一位は、大方の予想通り、翠星石と蒼星石の庭師姉妹。7人の姉妹の中で、この2体は、ずっと特別な関係として描かれていた。この結果は当然である。
このコンビが描かれたイラストは、提供バックでも何度か見られたが、最後はやはり本家PEACH-PIT先生のイラストでしめるということだろうか。私自身も、このふたりが大好きなので、新しいイラストが見られて凄く嬉しかった。
小説が発売されたり、公式ホームページで壁紙が連続配信されたり、今期のアニメ放映中は、双子の庭師がずいぶん推されていた。嬉しい限りである。
さてさて、注目するべきは、一位だけではない。三位の水銀燈と真紅のコンビは予想通りであったが、二位が水銀燈と金糸雀というのは意外だった。真紅と雛苺だと予想していた。この二人が、他の姉妹には無い時間を知っていることは、原作で一度だけ書かれただけ。いつもは翻弄される金糸雀が、水銀燈をからかうという珍しくも微笑ましい一幕であるが、物語に絡むようなものではない。それでも、非常に印象に残るシーンであるし、多くの人の記憶に残ったということだろう。
庭師の双子のイラストはとても嬉しいのだが、せっかくなら、水銀燈と金糸雀の描きおろしイラストを見てみたかった気もする。もうこの二人が並び立って描かれる機会も無いだろうからね。


さてさて、ひとまずの終わりを見せたローゼンメイデンの感想ブログであるが、全ての放送が終わる日、つまり、BS-TBSでの放送が終了するときに、もう一度更新しようと思う。最後に、今回のTVシリーズ全体というか、この三ヶ月の自分自身を振り返ってみようとおもっている。


最後は、真紅。
MBSで第一話が放送されるとき、同じようなポーズで、後ろに手を差し出した真紅を描いた。
今回は、前に手を差し伸べる真紅を描いてみた。
ローゼンメイデンは、真紅に始まり、真紅に終わる!

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