2013年9月29日日曜日

描いた絵をアップする

描かなかった第八話の絵と、描けなかった第十二話の絵。
十二話は、雛苺を描くつもりだったが、時間が足りなくて無理だった。この絵は、放送日当日の夜に描くと決めていたので、急な予定が夜に入ったりすると一気に厳しくなるのだ。



2013年9月24日火曜日

ローゼンメイデン 第十二話

第十二話。ここで終わるアニメも多いが、ローゼンメイデンはきっちり一クール分、十三話放送する。今期のアニメは、全十三話のものが多い気がするが、ちょっとだけ珍しいことかもしれない。

冒頭、雛苺が出てきた。
真紅のボディを守っていた雛苺。今期のアニメでは、どうしても出番が少なくなってしまうが、こうして回想シーンをはさみながらちゃんと出番が用意されているところに好感がもてる。
雛苺の、『眠り』に対するひとつのトラウマ。明るく、天真爛漫な彼女でも、永らく生きてきたドールであり、そして、永らく死んでいた存在でもある。自分のマスターである巴にワガママを言ったりするのは、幼さだけのせいではないのだ。
健気にも真紅のボディを守り続けていたその姿に、雛苺の堅い意思と、優しさが見て取れると思う。幼子ではあっても、誰かに依存するだけの存在ではない、そんな雛苺である。
今回のアニメの雛苺は、前回に比べると、かなり女の子らしく描かれていると思う。絵柄の問題といえばそれまでかもしれないが、より繊細というか、華奢な感じが強調されているようである。尤も、前回のアニメでは、タックルをしかけたりと、意外にも武闘派の戦いかたをするようなドールだったので、こんなに弱々しくては駄目なのだろうが。どちらにしても、雛苺というキャラクターの主な役割は真紅の妹分であり、旧アニメでは真紅に従って戦う姿で、今回のアニメでは真紅を守る姿でその役割を果たしているわけである。
あと、雛苺の声優さんは野川さくらさんだが、この人の声は本当に久しぶりに聞いた。前のアニメでも、すでに雛苺という役を完璧に演じて、キャストの中で一番役にハマっているのはこの方だと思ってたが、今回はさらに演技力が上がっていて、声優さんはすごいものだなぁ、などと感心した。

一方、ドール達は、せっかく雪華綺晶を倒したというのに、絶望の中に居た。時折挟まれる、『私達は、絶望するために生まれてきた』というモノローグが、雰囲気をより一層引き立たせる。
水銀燈にローザミスティカを差し出そうとする蒼星石。それを止めようとして泣く翠星石。崩れ落ちた真紅と、それを見て震えるジュン。せっかく迷いを断ち切ってここまで来たのに、守りたいものを守れなかったのだから、それは泣きたくもなるという話だろう。しかし、ここに登場するのが、希望の象徴、我らが金糸雀とまいたジュンである。
けっこうな高さから落ち、頭をしこたま打ち付ける金糸雀。もはや誰もツッコミを入れず、金糸雀自身も特に何も言わず話を続けるのが面白かった。最後までペースを崩さないところが流石である。
安西先生よろしく、「あきらめたらそれで終わり」と叫びながら真紅のボディを持ってきたジュン。
ボディに首を装着するのは、もう一つの真紅のボディを組み立てた、まかなかったジュン。しかし、彼は飽くまで、真紅の仮の姿を製作した人間であって、真紅の仮しもべでしかない。ネジをまくのは、真紅のマスターたるまいたジュンの役目。まいた世界とまかなかった世界、ふたつをつなぐのは、侵略者である雪華綺晶でも、まかなかったジュンの人形である蒼星石でも、自らの力で渡り来た水銀燈でも、両者の窓口となった金糸雀でもない。ふたりのジュンの手で作り上げられた、真紅なのである。そして、真紅を目覚めさせるときに防御を忘れるジュンたち。みんな、どれだけ変わっても、こういうところはペースを崩さない。

真紅を守る雛苺の話を聞き、狼狽する水銀燈。蒼星石自身が負けを認めたところで、それは絶対に本心になどであるはずがない。真にローザミスティカを手に入れるには、相手を叩きのめすのでも、蒼星石がいうところの『契約』を結ぶのでもない。もっと他の何かが必要になるのだ。しかし、それを知ってもまだ水銀燈は、「正攻法では勝てない」と考える。アリス・ゲームは、少なくとも水銀燈の中では、まだまだ只の潰し合いであり、その必勝法を探そうとしているのだ。
水銀燈は、一足先にもとの世界へ戻ろうとする。思い出すのは、めぐとの記憶。めぐの話はなんとも妖しいものばかりで、いかにも厨二病的。我々視聴者には、とうてい理解できるものではないし、それはどうやらめぐの周りの大人達も同じらしいが、それでも水銀燈にとっては唯一のこころのよりどころであり、この二人の間には、二人だけの世界が広がっているのだろう。

さてさて、水銀燈が去ったところで、こんどはジュンとドールたちも元の世界へと戻らなければならない。
まいたジュンも、まかなかったジュンも、この戦いのなかで、間違いなく何かを手に入れ、成長している。主に描かれたのはまかなかったジュンであり、その集大成は、きっと次の話で描かれることになるのだろうが、今はまず、別れを済ませなければならない。
出会ったばかりの、『自分だけのドール』たる蒼星石との別れ。現実を正しく見て、自分なりに生きれるようになったジュンにとっては、寂しくて辛いことではあっても、決して恐ろしいことではなくなっている。そして、ジュンのドールとして再生し、再び翠星石と出会えた蒼星石にとっても、ジュンに作られたことは幸せなことであった。
ジュンも、真紅も、蒼星石も、それぞれの世界へ旅立っていく。まかなかったジュンにとっては、これはただの夢にすぎない。彼がこれから戦う場所は、現実であり、彼自身の人生なのだ。しかし、まいたジュンは、まだまだローゼンメイデンによる夢のような戦いを続けることになる。どちらが幸せで、どちらが不幸かなんてことは無い。それは、自分自身が決めていくことだと、きっと二人のジュンはもう気づいているのだ。
そして、ジュンは夢からさめる。隣に水銀燈は居ない。舞台上に真紅は居ない。斉藤さんのセリフの続きは、なんとも拍子抜けなコメディチックな展開。舞台は、現実の中で続いていく。
しかし、ジュンの中には、ずっとドールが居続ける。ジュン自身が作り上げ、無限の可能性を指し示したドールたる真紅。彼女が消えることは無いのだ。

今回の絵本は、六個目の人形が恋人を与えてくれた。しかし、理想的すぎて、すぐに別れる。前回とは違い、人形は願いを歪めずに叶えた。問題があったのは、女の子の方。だからこそ、おじいちゃんが死んだ時と違って、今回は教訓を得た。
すっぱいぶどう、なんて言葉もあるが、案外、樹の上のぶどうは、熟れすぎて食えたものでは無いかもしれない。過ぎたるは及ばざるが如しというように、自分にとってベストなものは、自分の身の丈にあったものなのだ。
この話は、理想を叶えた結果として雪華綺晶を生み出したジュンのことを表しているのだろう。しかし、これもたいがい悪いクセだと思うが、どうしても自分のことに重ねて考えてしまった。
あるいは、すっぱいぶどうというものもまた、現実を生きる知恵なのかもしれない。
真紅は、「女の子でも、大人になればお人形遊びを卒業していく」と言った。だからこそ、大人になったジュンは、真紅と分かれたのだ。
大人になったのに、まだありもしない夢を追って、躓き続けている自分を戒められた気がした。



今日はあまりにも多忙で、朝から家を出て、帰ったのが11時45分であった。
この絵は、絶対に12時までに描くようにしているので、のこり15分で描いて、アップしたので、今回はかなり手抜きになった。
せっかくなので、次の土曜日に、絵もあわせてもう一度更新する。

2013年9月17日火曜日

ローゼンメイデン 第十一話

7月に始まったローゼンメイデンも、いよいよラスト3話。
最後まで、しっかりと見ていこうと思う。

さて、冒頭でいきなり、先生にパワーアップした金糸雀がジュンを呼ぶために退場し、少し場が寂しくなったところで、提供の裏でほっぺをつねられる翠星石がどうにも変態っぽくて笑ってしまったわけであるが、ストーリーはいたってシリアス。
しかし、ドール達が立っている中、翠星石だけが寝ているシーンはちょっとシュールだった。

ジュン自身の問題が片付き、とりあえず全員が合流を果たしたものの、蒼星石と翠星石のちからを合わせなければ時計は動かない。
そのため、まずは双子が両方共立って動いている状態にするため、水銀燈から自分のローザミスティカを取り戻す蒼星石。
蒼星石と水銀燈の間で舌戦が繰り広げられる中、ジュンが横槍を入れるも、水銀燈に一蹴される。戦うために生まれた存在であるとは、なんとも悲しい存在のドール達。しかし、今は争っている場合ではない。なんとかこの場から脱出せねばならないのだ。
この交渉、明らかに蒼星石が不利であるように見える。蒼星石は、交渉のカードを持っていないのだ。水銀燈に負けを認める、などというのは、それこそ口約束であって、何の保証もできるものではない。それでも水銀燈が信じたのは、元の世界へと帰るためという現実的な目的だけでなく、蒼星石の愚直なまでの誠実さを知っていたからだと思う。こうして、お互いのメンタリティというか、個性みたいなものを分かり合ってるあたり、普通の人間の関係と変わらない。そう思うと、水銀燈が語った『ローゼンメイデンの存在価値』が、あまりにも悲しいものに見えてくる。
無事にローザミスティカを取り返した蒼星石は、しばし翠星石と戯れる。双子の関係性が良く示され、どちらも可愛らしく描かれたシーンであるが、森永理科さんが演じる蒼星石と、桑谷夏子さんが演じる翠星石、と考えれば、二人の再開は、実に9年ぶり。今回の話は、見ている間にずいぶんと前のアニメのことを思い出すが、このシーンがキッカケとなっている。制作している側の意図とはまったくもって合っていないだろうが、それでも、感慨深くなるシーンだった。
水銀燈にも、ジュンにも、わざわざお礼代わりに妙な悪態をつくところが、翠星石のすごいところである。さすがツンデレの代名詞。デレても刺々しい!「べっ!」が可愛かった。

ドール達がそんなことになっている一方、ジュンはラプラスの魔と遭遇する。
どうにも立場の分からない不思議なウサギであるが、原作未読の人は、いきなりストーリーに絡みだして驚くのではなかろうか。
ともあれ、謎のウサギとともに森の中を進み、谷底に真紅のボディを発見するジュン。ひきこもりが外に出たと思えば、樹海……たしかに悲惨な話で、笑ってしまった。
金糸雀が帰ってくるも、さすがに谷底に降りるのは厳しい。肝心なときには役に立たない、今回も期待を裏切らないフライング乙女は、谷底に光を見つける。

そして、今回の見せ場となるシーン。
ついに揃った双子が、ジュンの命令を受け、時計を動かす。
ジュンの命令は、「もとの舞台を」である。「新しい世界」なんてことを言ってたかつてとは全く違う。かといって、「もとの世界」なんていうだいそれたことも言わない。あくまで、自分の周りの現実に目を向ける、成長の証だと思った。
このシーン、背後が時計になっていて、原作の印象的なシーンをより強い印象にしていて、とても良かった。ただ、植物を育てるときの、背景がカラフルなのはちょっとどうかと思う。
ここは、少し理屈とかがわからないのだが、世界樹の枝をその場に出現させることにより、世界の中に流れる生命=時間を時計に与えることにより、時計を動かした、というような抽象的な話であろうか。そして、抽象的な世界、すなわち植物を育てることが如雨露の役割であり、育った植物から生え、時計に絡まった蔦、すなわち物理的な障害を取り除くのが鋏の役割なのだと思うことにした。そういうわけで、最後の仕上げで時計へと乗り込む蒼星石。作業を進めていくなか、雪華綺晶が出現する。
しかし、ボディを持たず、既に力のぶつかり合いという戦いには敗れた雪華綺晶は、己の中の境界線を取り払い、前に進む決意をしたジュンの敵ではない。自分の心のありのままをぶつけ、真の『自分だけのドール』たる蒼星石を抱きしめながら、イバラを突破する。この時、ジュンはついに、真の意味で己の中のしがらみを断ち切ったのだろう。
そして、そのしがらみこそが自分自身の存在を世界に繋ぎ止める糸であったのが、雪華綺晶である。肉体も、存在の糸をも失った雪華綺晶は、断末魔をあげながら四散し、滅んでしまう。
一方、金糸雀とジュンが見つけた谷底の光は、ベリーベルと雛苺のローザミスティカであった。ずっとこの場所で、真紅のボディを守っていた雛苺。姉妹の絆は、その命が失われた程度で断ち切れるものではない。ひょっとしたら、雪華綺晶をこの世に繋ぎ止めるジュンの思いが簡単に断ち切られてしまうようなものであったのと、対比になっているのかもしれない。
世界からの脱出、真紅のボディの発見。
成すべきことが、両方共成されたものの、タイムリミットは迫っていた。
時間が動き始めるとともに崩れる真紅と、蒼星石からローザミスティカを奪い返そうとする水銀燈。
一瞬の喜びもつかの間、ローゼンメイデンの宿命は、どこまでも絶望的に動き続ける……というところで次回に続く。

冒頭、「あったことをあったことに、なかったことをなかったことに」「元の世界を、もとにもどす」みたいに、言葉遊びみたいな言い回しが出てきた。
ローゼンメイデンは、モチーフこそファンタジックで幻想的なので、こういう言い回しがたくさん出てくる印象があるが、意外と珍しいと思う。
特に、金糸雀なんかは、語尾にかしらとつくものの、余計な言葉を付け加えたりする印象が無いので、ちょっと新鮮に思った。

今回の絵本は、5個目の人形が開かれたが、おじいちゃんが死んでしまった。
何やら願いの叶え方が歪んだものになってきて、少し先行きが不安な感じである。

今回は、失われたドール達の活躍が目覚ましかった。
前回復活を遂げた蒼星石は、主人公たるジュンのドールとして、大活躍である。今回の主役は、間違いなく蒼星石であろう。
先にも述べた通り、蒼星石と翠星石は、アニメにのみ着目すれば、実に9年ぶりである。自分としては、この二人の声は、森永さんと桑谷さんしかありえないとおもっている。なんというか、すごくハマっていると思うのだ。だから、この二人が演じる彼女たちが対面するシーンは、あまりにも長い時間を経た再開のような気がして、本当に感慨深かった。
雛苺も、同じである。今回のアニメでは、原作に則っている以上仕方ないことではあるが、野川さくらさんの声があまり聞けないのが残念である。野川さんは、第一話でも演技力を魅せつけてくれたが、前回のアニメの時から、雛苺の演技はすばらしかった。
今回は、声は無かったものの、雛苺の静かな活躍が描かれた。

高校生の頃、トロイメントのラストシーンで、蒼星石と雛苺のローザミスティカを手に時の狭間を浮遊するラプラスと雪華綺晶を見て、いつか続編が作られると思っていた。
雪華綺晶の暗躍が、彼女ら二人の復活が、いつか描かれると思ったのだ。
その直ぐ後に、シャナがオリジナル展開に入った時も。翌週になり、びんちょうタンが始まっても、ずっとそう思っていたのに、いつか忘れてしまっていた。忘れるくらい、あまりにも色んなことがあった。
なんとなく、あの時のことを思い出した、今週のローゼンメイデンであった。


今日はやっぱり、このシーン。
「命令を」のシーンである。
個人的に、今日一番のハイライト。



2013年9月10日火曜日

ローゼンメイデン 第十話

第十話。ついに二桁である。

今回は、ジュンが蒼星石と契約するお話。すなわち、蒼星石が復活する話だ。
蒼星石のボディを守るために乱入するも、結果的に雪華綺晶に味方する形となった翠星石。
どうしようもない膠着状態を打破するため、ジュンは真紅との契約を結ぼうとするも、雪華綺晶の妨害により叶わない。それどころか、雪華綺晶は自分の指輪を取り出し、自分との契約を結ばせようとする。このくちづけのシーンは、実に妖しく、不気味である。
一方、翠星石は、蒼星石とジュンを契約させようとするも、水銀燈は先にジュンと交わした約束を持ち出す。そして、真紅は、仮のボディのタイムリミットが迫る。
雪華綺晶が敵であることは共通していても、ローゼンメイデンは決して一枚岩ではないのだ。契約するドールを選ぶことになったジュンは、美少女たちが自分を取り合っているという夢の様な状況なのに、まったくもって羨ましくない。
メイメイとスイドリーム、人工精霊どうしという珍しい戦いが繰り広げられたあと、イバラが切れて地面におちた拍子に、ジュンは蒼星石の指輪にくちづけをしてしまう。
そして、あまりにも役者が揃い過ぎたこの状況は、お父様ことローゼンの導きによるものであることが判明すると同時に、蒼星石のボディが、ついに雪華綺晶から分離する。翠星石は、自分のローザミスティカを、妹である蒼星石に捧げる。このシーン、翠星石は一度だけ水銀燈に蒼星石のローザミスティカを返すよう説得するも、成らぬとわかれば何のためらいもなく自分の命を捧げるという、彼女たちの特別な絆が描かれたものとなっている。
そして、ローザミスティカを捧げたその瞬間、世界に異変が起こり、時計が全てを連れ去ってしまう。

Bパートは、ドールとジュンが引き離される。
ジュンの方は中学生ジュンと金糸雀の居るところへ飛ばされる。過去と未来、まいた世界と巻かなかった世界、絶対に交わることのない二人でありながら、同一人物というなんとも奇妙な組み合わせの対話が始まる。
そして、ジュンは過去の自分に対して、ひどく陰鬱な現状を吐露するが、がっかりするかつての自分を見て、気づく。自分が語っているのはただのいいわけであり、自分で勝手に選択肢を摘み取っているにすぎない。自分を否定しているのは、他でもない自分自身であるということに。
進むべき道に気づいたとき、第零世界から脱出がかなったジュン。
一方で、ドールたちは、復活した蒼星石に対する困惑が広がる。と言っても、主に困惑しているのは水銀燈のみ。かつて命を奪ったはずの蒼星石が、確かにその場に居るという事実に対する混乱である。ボディを奪われた雪華綺晶の方はと言うと、実体を持たぬ姿を恥じて何処かへ消える。
そして、金糸雀の活躍によってジュンはドールズの元へたどりつき、金糸雀が指す方向に大時計を見るところで、次回に続く。

今回は、蒼星石の復活と、ジュンが現状を打破したことが印象的な話であったが、金糸雀の活躍も、大きなみどころである。今回は、見どころがかなり多い話だ。
二人のジュンが話している時にうたた寝をしてしまったり、細かい動きが可愛らしいのももちろんだが、ジュンの手にまとわりつく光に気づいたり、格好いい活躍もした。平行世界への扉に囲まれながら、ローゼンメイデンとは何たるかを語るところとか、頭が良さそうでいいかんじだったのに、傘が飛んでいったらそちらを気にしているところが可笑しくて、どうにもシリアスにはなりきれない感じ。
ヴァイオリンを奏でることで、雪華綺晶が創りだした水晶の結界を破壊するシーンは、周りが金色になって、まさに金糸雀の独壇場。こういうシーンは、色がつくことによってより印象的なシーンになるし、何より音というものがメインに据えられるわけだから、漫画で見るよりも、アニメという表現のほうが適しているシーンだと思う。周りが金色になるところとか、いかにもそこが金糸雀のフィールドになったことが現れていて、凄く良かった。
初登場以来、謎の存在感を放っていた「かしら」という語尾にツッコミが入ったことにも注目である!真っ赤になったり、へたりこんだり、なにかと愛らしい金糸雀である。
それにしても、乙女番長とは……一体なにを思ってこんな肩書を名乗りだしたのだろう(笑)

翠星石の策により、ついに復活した蒼星石。
翠星石は、なんの躊躇いもなく蒼星石にローザミスティカを捧げた。
真紅と水銀燈の間にある、なんとも複雑な関係とは違う。真紅と雛苺の間にある関係とも違う。
互いが、自分の命よりも大切な特別な存在であるという、双子ドールの特別な絆。
原作を読んでいれば周知のことであるし、アニメでも既に語られているものだが、これを限られた時間の中できっちりと描いているところに好感が持てる。
そして、復活後もナチュラルにセクシーな言い回しをする蒼星石……見た目に似合わぬたらしで面白い(笑)

ジュンは、ついに光明を見つける。
過去の自分との対話、というのは、とても大切なことだと思う。
何かに失敗した時、人はどうしても過去の自分に対する言い訳を考える。どうせ最初からダメだったのに、なぜあんなことをしようと思ったのだ、とか。すっぱいぶどうなんてのも、手に入れられなかった今の自分が、手に入れようとしている過去の自分を否定する行為を表すたとえだと思う。何れにしても、過去に対して言い訳をしながら、今の自分をなんとか正当化し、なぐさめようとしているのだ。
ジュンは、過去の自分が「すごい」なんて純粋な気持ちで言ってるいろいろなことを、頑なに「大したこと無い」とか言って否定してしまっているのだ。だれも、彼に対して否定的なことは言っていない。かつての自分は賞賛を送り、その場に居るドールは寝ている。そんなことを言っているのは、彼以外に誰もいない。
ジュンは、文字通り、過去の自分と対話することにより、そういうことに気づいたんじゃないかと思う。なにをどうしても、過去は変えられない。変えられるのは未来だけ。かつて真紅が語ったその言葉の、本当の意味がわかったのだ。
過去にどんなことがあって、現在がどのような暗い状況にあったとしても、未来への希望だけは捨ててはいけない。これは、どん底の中でも残された最後の光なのだ。これを捨てた時点で、人間は死ぬしかなくなる。逆に言うと、死に至っていない時点で、希望を捨ててなんかいない。なんとか自己肯定しようと、過去に対する言い訳をしているにすぎないのだ。
残念ながら、自分は今このような状況に陥っている。
もう少し、もう少しだけ暗い気分に浸るとして、もう一度、この会話を見返してみようと思う。

次回予告のテーマは『図星』
変なお店というワードが出てきたり、珍しく店長が主導権を握ったり、斉藤さんが謎の本性を表したり、どうやらこちらも佳境へと突入したようである。


 
いつも、事あるごとに蒼星石を描いているものとしては、今回は蒼星石の復活を記念して彼女を描くべきだと思ったが、やはりやめることにした。自分の人生における大きな出来事が、ひとつあったためだ。そちらについて、蒼星石を描くことにした。
だから、今回は、ジュンである。
今の、そう、まさに今日の私の心に響く会話をしてくれた、この二人(一人?)を描いた。
それにしても、男性キャラを描くのは難しい。
 
2020年のオリンピック開催都市が東京に決まった。
AKIRAが予言をしていたみたいでびっくりだけれど、あんな荒廃した世界とは真逆の、明るい日本が出来たらいいな、と思う。

2013年9月3日火曜日

ローゼンメイデン 第九話

第八話の感想を書いたところだが、第九話である。
この話は、既に東京でも見た。

斉藤さんが所属する劇団の公演に来たジュンと、小道具として出演することになった真紅。
そして、そんなふたりを追い暗躍する水銀燈……と思いきや、水銀燈は早くも表に出てきた。
ジュンの隣に座る水銀燈だが、これはなんとも危なっかしい。声を潜めたりせず、普通に話していたが、大丈夫なのだろうか?
公演の方は、真紅がひっぱられて不機嫌になったりしつつ、無事に進む。時間軸を超えて受け継がれる、人形の記憶をめぐるストーリーは、ローゼンメイデンの境遇に通じるものもあるが、それは重要なことではない。
ハリボテの時計が鳴り始めると同時に、まいた世界とまかなかった世界が重なり、遂に雪華綺晶がその姿をあらわす。
ここからはバトルパートに移るわけであるが、やはり水銀燈が動くと、迫力がある。真紅のローズテイルも華やかな技ではあるが、黒い塊となった翼を振り乱し、無数の白いイバラとぶつかりあう様は、真紅の技には無い暴力的な迫力があるのだ。やはり、巨大なものどうしをぶつけあうような闘いは格好いい。
そして、そんなバトルの中で明かされる雪華綺晶の目的。彼女は、ローザミスティカを手に入れてアリスになるのではなく、飽くまで人形のまま、どんな姿にもなれるような存在となること。バラバラの7つをあわせて1つにするか、1人が7つを持ちあわせて使い分けるか。ある1人が、ほか全ての特徴を手に入れるという点では同じでも、その方法が全く違っている。確かに、他のドールズが前者であるなか、ただ一体だけ後者の目的を持つ雪華綺晶は、水銀燈からすれば”壊れている”のであるが、それだけの意味ではないだろう。水銀燈にとって、雪華綺晶は、めぐというかけがえのない存在を奪った張本人なのだ。その怒りを込めて、この言葉を放ったのだ。敵とはいえ、同じ人形として、あくまで同じ地平に立って戦おうとする宿敵たる真紅には、嘲り貶すときに”ジャンク”という言葉を使うのに対し、雪華綺晶にはもっと直接的に「壊れている」と言い放ったのは、そこに込められた敵意を表しているような気がする。
ともあれ、凄まじい戦いが繰り広げられる中、遂に水銀燈自身の口から、真紅との共闘が宣言された。天邪鬼な答えを持って肯定を示すのではなく、直接的に、共闘を宣言したのである。宿敵と手を組んでまで倒すべきは、怨敵ということだろう。
そんな中、遅れてやってきたヒロイン、翠星石が到着。真紅と水銀燈の攻撃から雪華綺晶を守る彼女は、雪華綺晶のボディが蒼星石のものであることを明かす。
というところで、次回に続く。

絵本は、三体目の人形を使って、憧れのスターに出会う場面が描かれた。恐らく、この調子で、女の子が好き勝手な願いを叶えていくのだろう。
その過程で、あるいは、その果てに何が見えるのか。全ては、七体目の人形が開かれる時に明らかになるのだろうか。

エーテルやアストラルという、物理学の用語らしい言葉が随所で使われているが、これは物理学というより、錬金術を意識しているのではないかと思う。
思えば、ローザミスティカなんていかにも賢者の石であるし、ローゼンメイデンという”作られた命”は、ホムンクルスに通じるものあがある。
残念ながら、ローザミスティカの正体は、未だ原作でも明らかになってはおらず、原作の最後で語られるのかもしれないし、永遠に謎のままなのかもしれない。

さてさて、今回は、二体のドールが本格参戦した。
と言っても、雪華綺晶は以前から名前だけでなく姿も出ていたので、視聴者としては決して新たな登場人物というわけではない。表舞台に姿を表したというだけだ。
一方、翠星石の方は、一話以来の登場となる。かつてはツンデレオブザイヤーまで取った超人気キャラで、一時はツンデレの代名詞とまで言われた伝説のキャラクターであるが、流石に大学生のジュンにまでチビ人間呼ばわりはできないらしい。早速ツンな部分を垣間見せてくれた彼女であるが、まずは妹を助けるお姉さんとしての活躍が先である。どこまでも妹思いで、蒼星石を守るため、独自の立場で闘いに介入した彼女は、次回以降どのような動きを見せるのか?要注目である。
ところで、雪華綺晶は他の姉妹たちを、そのドールの色に薔薇を付けて呼ぶのに対し、翠星石にだけは翠のお姉さまと呼んでいた。青い薔薇も作られた現代であるが、実は、緑色の薔薇だけは、何をどうしても作れないことが立証されてしまっているらしい。蒼と翠というのは、科学によって作られた色と、科学によって否定された色でもある。そう考えると、この双子はなんとも皮肉な存在に思えてくる。蒼のほうが否定的で、翠のほうが肯定的な性格をしているのだから、なおさらである。

今回は、冒頭に金糸雀が出てきて、みっちゃんから教わったパソコンのトラブルシューティングを披露してくれたが、見事に空振りであった。
この子だけは、どんな状況でもズッコケていて、見るものを和ませてくれる。まさに清涼剤というところであるが、この後でちゃんと格好良く活躍することになるので、その点も期待しよう。

提供バックは、uki先生の描いた双子。
アオハルの表紙や、つり球のキャラクターデザイン、センコロールの制作でおなじみの方である。
まさか、先生の描いた蒼星石が見られるとは思わなかった。
双子でそれぞれ違う目でウインクをして、おそろいの緑色の目線をくれる、なんともチャーミングなイラストだった。
提供バックとともに気になるのは、次回予告。ついに殴られてしまった店長だが、果たしてこの後店長はどんな目に会うのか。前々回で少し雰囲気が重くなりかけたが、ふたたびこういう雰囲気にもどって安心であるものの、店長の行く末を考えると不安である(笑)


ここから私事であるが、本日、かつて通っていた高校の校長の葬儀に参加した。
85歳という年齡で、最期は家族や教職員に囲まれながら眠るように逝ったということであるから、大往生である。
先生の人徳を表すような、多くの方が参列する、とても立派な葬儀であった。
その中で、かつての恩師と久しぶりに再会し、様々な話をした。
葬儀というものは、故人との別れの儀式であると同時に、その人との繋がりを再び呼び起こす儀式でもあるらしい。
先生が居られなければ、今の私は無かったと思う。せっかくなので、先日の院試の合格を報告しつつ、これまでのことを感謝するとともに、ご冥福をお祈りした。


 
今日の絵は翠星石。
なかなかかわいく描けたと思う。

2013年9月1日日曜日

ローゼンメイデン 第八話

さてさて、第八話である。

謎のメールにそそのかされて、「自分だけのドール」を作り始めたジュンは、皮肉にも、それがキッカケでいろいろなことにやる気が出てくるようになり、実生活が充実し始めた。
斉藤さんも、ジュンにいろいろと構うようになる一方、やはり夜になると、人形が気になってしまうジュン。ついつい斉藤さんに悪態をついてしまうも、それすら受け入れて、逆にジュンを良い人と言うのだから、斉藤さんはすごい。こんな子が近くにいるジュンは幸せものである。人形なんてなくていいじゃん!

一方で、消滅の日が近づく真紅は気が気でない。そして、その時を楽しみにしている水銀燈。水銀燈の言葉は、決してただの憎まれ口などではない。BIRZでやっていたころ、水銀燈は本気で真紅を殺そうとしていたのだ。めぐ関連のエピソードが語られるまでは、水銀燈は雪華綺晶に匹敵するような、怪しく恐ろしい敵であった。
そんな水銀燈は、ジュンが作っているドールを見て、ある発見をする。その発見がもたらすものが何かはまだ分からないが、彼女にとって大切なのは、あくまでつくりかけのボディそのもの。
ジュンも参加した劇団の公演についていった真紅と、それを尾行した水銀燈。互いに、まだ明かされない思惑をひめつつ、一方は正々堂々と立ち回り、一方は暗躍する。
自分自身が小道具として舞台に立つ真紅と、ジュンが作ったボディを持ち出した水銀燈。ともに、狙いは雪華綺晶をおびき出すこと。まさに、舞台は整った……というところで次回に続く。
物語も、佳境に入ってきた。

さて、今回は、斉藤さんの練習のシーンがすごかった。いきなり普段と違う声色で話しだすものだから、驚いた。それでも、飽くまで「斉藤さんが普段と違う声を出している」という感じに仕上がっていたのが印象的だ。斉藤さんも、頑張っているんだなぁ。

あと、今回出てきた作りかけのボディを見て思ったが、ローゼンメイデンというのは、見た目の通りの年齡の女児をモチーフにした人形ではなく、少女をデフォルメして作られた人形のようだ。服がフリフリなので等身が低く見え、幼い印象を与えてしまうが、ボディそのものは決していたずらに寸胴だったりしていない。こういうところも、今回のアニメにおいてドールズがより「人形らしく」描かれているという部分なのだろうか。

そういえば、真紅が人形役に名乗り出るとき、「お困りのようね」なんて普通に声を出していたが、あんなことしたら、普通は劇団員の人が驚くと思う。軽い恐怖体験だ(笑)


と、少し簡易的ではあるが、今回の感想を終える。
今回は、絵は描けなかった。
毎週月曜日に更新するはずが、どうして土曜日になったのかというと、月曜日は院試を受けていたからに他ならない。絵をかけなかったのも、そのためだ。
日曜から今日まで、一週間ほど東京にいたわけであるから、実は第九話もすでに見ている。
データ放送なんかもやってみたが、全話見ると白バラが揃って、左側の絵(オフィシャルサイトのキービジュアルと同じもの?)が完成する仕組みのようだ。
絵については、また後ほど描いてアップしようと思う。

さてさて、院試の方はというと、残念ながら、全くと言っていいほど振るわなかった。
明らかな勉強不足だ。
逃げの気持ちがあった。迷いもあった。そもそもが、自分に言い訳をしているだけで、目的は学歴ロンダリングにすぎないのだ。
今日のローゼンメイデンで、「自分が好きでもないことで努力できる人間は大したものだ」というセリフがあった。斎藤さんの兄貴のセリフだ。
原作でも出てきたはずだが、記憶にはとどまっていない。それくらい、かつては印象に残らないセリフだったのだろうが、今日は自分に突き刺さった。これ以上ないほど的確に、今の己を非難された気がした。
自分は、恐らく現状から逃げることはできない。逃げるための努力すら怠ったのだから。
だから、自分が好きなことではなくとも、一所懸命に努力してみようと思う。
変わる変わる、と言い聞かせて、ついに変わることが出来なかった自分であるが、こんどこそは変わろうと思う。そのために、院試を終えた今こそ、新たな努力を始めるのだ。


東京からの帰路の中、母校の校長が亡くなったという知らせを受けた。
あまり会う機会は多くなかったが、高齢でも、毎週朝礼に車椅子で来てお話をされていた。
自分の恩師も、この方を尊敬すると言っていた。自分が知っているのは、老境に入り、ほとんど隠居されたような姿だけであるが、自分の知らない過去においては、すごいことをした(としか、表現できない……)方なのだろうと思う。
なにはともあれ、母校の校長先生であるから、通夜と葬儀くらいは参加させていただこうと思う。
明日と明後日、喪服を来て、出ていこう。